【嫉妬の科学】嫉妬されたら勝ちな理由と妬み対策を徹底解説!

嫉妬する女性 心理学

結論から言えば、嫉妬されたら勝ちです。

しかし嫉妬というのは

「ああ、あなたは私に嫉妬してるんですね。それは残念でした、お疲れさまです笑」

と煽った時はもちろん、煽らなくとも嫌がらせや陰口に繋がったりする事もある厄介なものです。

ですが、そもそも彼らはどういう心理で嫉妬をするのでしょうか?そして嫉妬による嫌がらせを回避するにはどうすればいいのでしょうか?

いつものように心理学のエビデンスを元に学んでいきましょう!

嫉妬を引き起こすには条件がある

まず他人の成功が嫉妬を引き起こすという事自体は理解できるのですが、一方で他者の成功が嬉しくなるという事もありますよね。

たとえば、親友が大会で優勝したら「あの子、私の友達!すごいでしょ!」と自分事のように誇らしくなりますが、逆に親友だけが活躍した事で関係がぎくしゃくするという場合もあるでしょう。この違いは何なのでしょうか?

1988年Tesserらの論文ではこの違いについて二つのプロセスから説明してくれています。1)詳細は以下の通り。

  1. 近しい人の成功は赤の他人の成功より自己評価が下がり、脅威に感じる事がある!
  2. これは自己評価維持モデル(SEM)と呼ばれるもので説明ができ、反射プロセス比較プロセスというものが影響してるっぽい
  3. 親しい人のパフォーマンスが高い場合、反射プロセスが優位だと自己評価が上がるが、逆に比較プロセス優位では自己評価が下がってしまう
  4. このプロセスの差は関連性、つまり相手が持っているものが自分にとって重要なものかによって決まる

これだけでは正直よくわからんと思いますので、具体例を挙げながらわかりやすく解説していきます。

相手にとって重要な物を勝ち取ってしまうと嫉妬される

嫉妬するか誇らしく思うかは紙一重

「私は近くにすごい人がいたら、嫉妬するどころか他の人にも自慢しちゃうけどなぁ。何で嫉妬なんてするのかなぁ」

冒頭でそんな疑問がありましたが、これは反射プロセス比較プロセスから説明ができます。

結論から言えば、他人の成功を誇らしく思うのは、あなたがその人の持っているものをそこまで重要視していないからです
その人の業績はすごいんだけど、自分の人生にはそこまで重要ではないという場合ですね。

たとえばあなたが野球部で、小さいころから甲子園の大舞台で家族に活躍を見せたいという大目標があったとします。

しかし集大成である最後の大会前になぜか調子が悪く、あれほど行きたがっていた甲子園ではベンチ入りすらできなかったとしましょう。
努力の成果を友人や家族に見せたかったと思っていたあなたは当然落ち込みます。

一方、あなたの同級生はバスケ部でスタメン入りをしたようです。
彼の3年の努力が実を結び、全国大会で活躍して家族や友人が喜んでいる所を見たとしたら‥少し複雑な気持ちになるでしょう。

目標を達成できなかっただけではなく、自分が見劣りするように感じるかもしれません。これが比較プロセスです。


今度は全く違う場面を考えてみましょう。あなたが帰宅部だとします。

そして最後の大会で同級生が全国大会で大活躍している場面を見たら「アイツ頑張ってたもんな!よし、私も受験をがんばろう!」と誇らしくなるでしょう。なんだったら、自分の応援があったから全国大会で活躍したんだくらいの気持ちでいます。これが反射プロセスです。

これらの違いは自分がスタメンにこだわっているかどうかが影響しています。自分にとって重要なものかどうかが嫉妬に影響するのです。


まとめると以下のようになります。

  • 反射プロセス:自分にとって重要ではない事について、近しい人が成功すると自己評価が上がる≒誇らしくなる
  • 比較プロセス:自分にとって重要な事について、近しい人が成功すると自己評価が下がる≒嫉妬する

このように近しい人のパフォーマンスが高い場合、自分にとって重要なものを相手だけが持っていると自己評価が下がります

それはただ重要な物が手に入らなかった悔しさだけではなく、他者との比較によって自分のプライドまで傷つけられているいるわけです。

そう考えると嫉妬されるのも仕方がない気がしてきます。

あなたがどう思おうと嫉妬に駆られた相手にとっては重要な事

つまり、あなたが相手にとって重要なステータスや能力を持っている場合、勝手にあなたと比較して勝手に傷つき、嫉妬をします

落ち着いて考えてみれば人間の評価が一つ二つの要素で決まるわけがないので、プライドが傷つく必要などありません。ですがあなたのそんな正論は嫉妬に駆られた相手に通用しないでしょう。


たとえば、出世競争に当てはめて考えてみましょう。

ここではあなたは出世欲がない人だとします。「ポストが上がってやること増えるより、他にやりたい事いっぱいあるんだよね。お金だって自分で稼げばいいし。ストレスフリーで自由な時間が一番!」と思っていたとしましょう。

ですが世の中うまくいかないもので、この力の抜け方が冷静な判断力やパフォーマンスに繋がり、同期であなただけトントン拍子で出世してしまったとしましょう。

この時同僚に出世欲があったらどう思われるでしょうか?あなたが「別に出世したいわけじゃないんだけど断り切れなくて。自分にはふさわしくないのに。これは面倒な事になった」と話したら立場を理解して同情してくれるでしょうか?

たぶんなりません。あいつ、スカしやがって」と妬みを買うのがオチです。しかも本音を言っているとはいえ、自慢に取って取れなくはないのでなおまずいです(なぜこの謙虚そうな発言がまずいのかについては自慢する人が嫌われる科学的な理由と上手な自慢の作法の記事も参照してください)。

なにしろあなたは同僚にとって重要なものを持っていますし、さらにマズい事に同僚ですから立場として共通点も多いのです。

相手は出世という欲しかった物が手に入らないだけではなく、あなたと比べた結果プライドまでずたずたになっているという事を理解する必要があります。まさに泣きっ面に蜂
そう考えれば妬むのは当然で「まあそりゃそうなるよね」としか言いようがありません。その気持ちは理解できます。


このように勝手に嫉妬に駆られた人は、時にあなたの陰口を言ったり足を引っ張るなどの問題行動に出る事があります。

迷惑極まりない話ですが、嫉妬は極めて人間らしい行動です。ですから嫉妬されたら勝ちではあるのですが、嫉妬によって面倒な事になるのもまた事実なのです。

理不尽に偽善と叩かれることも嫉妬のひとつ

ここで理不尽なのは、あなたが善行をしようが努力の結果だろうが嫉妬されるということです。

たとえば善行に関する嫉妬について考えてみましょう。偽善の何が悪い?良いことをしても偽善者と批判される心理学的理由という記事を以前書きましたが、偽善者と叩きたい人は自分がいい人だと見られたい気持ちが強い事があります。

つまり相手にとっては他者から尊敬されたり良い人だと思われることは重要なので、あなたがいい人だと思われるとプライドが傷つき嫉妬してしまうのです。

いや、叩かずにお前も善行やれよ。いいヤツだと思われるぞ」と思うかもしれませんが、相手からすれば今善行をすればあなたに影響を受けた二番煎じと感じます。
それこそいいヤツだと思われてマネをした偽善者のように感じてしまうので、とりあえず叩いてあなたの善行を無にしようという行動に出ているのです。
これもまた嫉妬です。

なお、記事には偽善と見られないための対処法も書いてありますので、良い人なのに嫉妬されて足を引っ張られている人は参考にしてみてください。

自分と似ている人からは嫉妬されやすい

優秀な人は自分と似ている人から妬まれる

このように、人間は他者と比べる事によって自己評価が揺れ動き、自信をつけたり動揺したりします。そして、赤の他人よりもよく知っている人や共通点の多い人に後れを取る事の方が脅威だと思っている事を知っておくことは重要です。

たとえば、「20代○○業界の平均年収!」とかいうのを見て一喜一憂した事がありませんか?これは自分と同じカテゴリの人と比べる事で自己評価を確認しようとしているわけですね。

この時、もし平均より下回っていると自己評価が傷つくわけです。「同じ業界なのにオレの方が100万円も低い‥(だから私はダメなんだ)」と、誰が言ったわけでもないのに自分で勝手に( )内を補足し始めたりします。

ですが、面白い事に社長の平均年収と比べて「私の方が数千万円も低い‥」とショックを受ける事はあまりないはずです。

よく考えればあなたの方が年収が低い事には変わりがないですし、なんだったら先ほどより額が大きい分、余計にショックを受けてもいいはずです。しかし自分とは共通点が少ないため、あまり自己評価が傷つかないのです。

ですから他人と比べるなというアドバイスがありますが、もう少し具体化するなら「自分と似ている人や知人とは比べない方がいいよ」ということになります。

つまり前述した例のように同僚なんかと比べるとたいていロクな事になりません。優秀な相手ならなおさらです。

人間の「似ている人と比べたい」本能が妬みを生む

しかし残念な事に、自分と似ていないとそもそも比べたくなくなるという事もわかっています。自分と似ていないと比較の魅力が失われるのです。

たとえば、私が小学生に「私は英語ができる。どうだ、お前らに論文なんて読めないだろう。ガハハ」とマウントを取ったとしましょう。事実、私は小学生より英語ができます(たぶん)。

これで私の自己評価は満たされると思いますか?‥どう考えても満たされませんよね。自分とは状況が違いすぎるからです。だから誰も小学生とは比べようともしません。

ですが、学生の頃の試験を思い出すとどうでしょう?「お前何点だった?何位だった?」なんて話はしませんでしたか?誰しも他の人の成績が気になるものです。

さらに、試験でトップを取っていたとわかったらどうでしょう。それがたまたまだとしても、少し誇らしい気分になったのではないでしょうか。

これは似たようなカテゴリの人(同級生)と比較した結果、自己評価が満たされたためです。ですから私たちは同級生の立ち位置にはとても興味があるわけです。

もっと極端な例としては、いくら収入に重きをおく人でも「俺よりディープインパクトの方が稼いでいる‥」とショックを受ける人はいないでしょう。人間と馬は違いすぎるから比較の魅力がないのです。

このように、似ている人とは比べたがるという本能が人間にはあると理解しておきましょう。よって、同僚や友人はあなたと立場が似ていますから、非常に比べられやすいと言えます。この事を優秀な人は肝に銘じておく必要があります。

嫉妬を抑えるための対策

それでは、優秀な人は友人や同僚からの嫉妬を、理不尽を耐えるしかないのでしょうか?

もちろん嫉妬を抑える方法を用意しています。嫉妬はゼロにはなりませんが、ハイパフォーマーについてまわる呪いを最小限に抑えておきましょう。ですが、あなたはこう思うかもしれません。

「えー、嫉妬なんて相手が悪いじゃん。なんで努力したワガハイがそんな下々の妬みのために配慮しなければならなの?相手の努力不足じゃん」

こらこら、そういう態度が嫉妬を買うんですよ。まずなぜあなたが配慮しなければならないのかについてから解説しましょう。

大いなる力には大いなる責任が伴う

「大いなる力には大いなる責任が伴う」

これは昔からある言葉で、世界のいたるところで同じ事が言われています。

たとえば身近なものとしてはスパイダーマンにもこの言葉が出てきますし、フランスのノブレスオブリージュ、日本の武士道などもこの考えとの共通点があります。

つまり、優秀な人や立場がある人というのは一定の良識ある振る舞いを周囲から求められるのです。

もしあなたが周囲より力や立場があるのなら、自分勝手に振る舞ったりマウントを取ってはいけません。力がある以上、義務として人格者としての振る舞いも求められるという事ですね。

このルールは全体の利益になるだけではなく、あなたの身を守る事にもなります。世の中には力を持たない人の方が多いわけですから、仮に多くの力を持たない人から嫉妬やうらみを買った場合どうなるか?

結果はおそらくフルボッコです。どんなに力があろうとも、あなたは数の力に勝てません。ですから、あなたは民心を獲得する必要があるわけです。

優秀な人は人格者じゃないとやっていけない、このことを肝に銘じておいてください。イギリスの首相チャーチルもこんな言葉を残しています。「偉大さの代償は責任」と。

嫉妬を買わないテクニック

では、私たちは嫉妬を買わないためにどのような戦略を取ればよいのでしょうか?

まずは嫉妬を言わせないほどのカリスマ性を持ってしまうというのが一つです。

誰しも認めている人に対して「アイツはズルをしている」なんて言えないからです。そんなことをすれば全員を敵に回すことになりますからね。

カリスマ性を持つ方法としては心理学のカテゴリにエビデンスに基づく過去記事がたくさんありますので、取り組みやすいものからトライしてみてください。

次に、もっと直接的な対策もあります。論文では自己評価が下がった相手は以下のような方略を取る事があるとされていますから、これを参考に対策をするのが良いでしょう。

  • 自分のパフォーマンスを高めるため努力をする
  • 他の分野に注意を向ける(他の価値観も重要だ!と考えを変える)
  • 同じもので比べない戦略を取る
  • 過ごす時間を減らし、自分との共通点を減らす
  • 足を引っ張って相手のパフォーマンスを下げる1)

ちなみに一番上の方略はお互いを高め合う良きライバルとなりますから全く問題ありません。みんなこうだと良いのですが。

問題は一番下のあなたの足を引っ張ってくるものです。この問題行動を他の方略にずらすというのが嫉妬を買わないためのテクニックとなります。

テクニック1:他の価値観に注意を向ける

例として「足を引っ張る→他の分野に注意を向ける」にずらしてみましょう。

たとえば出世してから「最近友達とも遊べなくて。最近もドタキャンで友達を怒らせてしまった」とこぼすと相手はどう感じるでしょうか。

「出世も結構だが、その分残業も多くてプライベートの時間がなくなる。それに比べてオレは家に帰れば奥さんも子供もいるし友人との時間も大切だ。その生活の方を失う事の方がイヤだな」

といった他の価値観に気づいてもらえるように示唆するとどうでしょうか。「出世=幸せだと思っていたが、そうとも言い切れない」と気づかせることができます。

テクニック2:自分の強みとは違うものと比較させる

他にも「足を引っ張る→同じもので比べない戦略」にずらす方法もあります。

たとえば出世してしまったとしても「ちょっと力を借りてもいいかな。このデータをうまく扱えなくて見直しを食らってしまってね。どうもこういった分野はうまくないんだ」と相手の強みに頼ってみるとどうでしょうか。

「アイツは営業力があるから目をかけられたのだろうが、自分の強みは分析力だ。オレはこの頭脳で成り上がってみせるぞ」といったように、自分の土俵には乗せずに他の強みで比較させてみるという事も自己評価を高めてもらうのには良いでしょう。

テクニック3:どうしてもだめなら距離を取る

それでも妬みが収まらないなら、「一緒に過ごす時間を減らす」という方略になります。

あなたとの関係が親しくなくなる事によって、皮肉な事に嫉妬も薄まるのです。

先ほども言ったように、自分と共通点の少ない他人の成功はあまり気にしない傾向にあります。悲しい事ですが、相手が足を引っ張ってくるようであれば適度に距離を取るという事もお互いのための選択の一つになるでしょう。

もし自分が嫉妬してしまった時の対策

もちろん自分が嫉妬をしてしまう事もあります。これは人間として当然起こりうる感情です。

ですが覚えておいてほしいのは、嫉妬という感情が問題なのではなく、問題行動に繋がってしまう事が問題なのです。逆を言えば行動さえ高潔であればマイナスを食らう事はありません。

その為に大事になるのが自己抑制というものです。感情的にならず、自分を抑える力ですね。

仮にあなたが同僚の成功に嫉妬したとしても、「ずっと頑張っていたもんね、おめでとう!」と祝ってあげた方が社会ではうまくいきやすいです。

このように勝者を讃えるスポーツマンシップ的な行動を取ったら周囲はどう思うでしょう?「あの人は他者の成功を喜べる人格者」「それだけ余裕があるあの人は有能に違いない」と思われます。

でもがもし「アイツは選ばれるべきではなかった」「自分の成果にしやがって」といった負け惜しみを言えば、あなたの評価は下がる事になります。

悔しい気持ちはあるでしょうが、対応の差であなたの評価には雲泥の差が出てしまいます。そしてこの負け惜しみを抑えるためには自己抑制が必要になるのです。

自己抑制について詳しくは今日から変える!どこに行っても孤立する人への解決策と原因の記事で解説してしますのでそちらも併せて参考にしていただければ。自己制御能力がないと最終的に孤立します

それから、瞑想も対策として良いでしょう。人間はどうしても嫉妬に駆られると視野狭窄に陥ります。

落ち着いて考えさえすれば、誰かが成功したからと言ってあなたの評価が下がるわけでもないし、あなたが失敗したわけでもないのです。

ですが感情的になると嫉妬・執着し賢くない行動をとりやすいのです。5年間続けた瞑想の経験とエビデンスをブログにまとめてみたの記事では私の瞑想による体験談とエビデンスがまとめられているので、よろしければ参考にしてみてください。

引用・参考文献

1)Tesser, Abraham. “Toward a self-evaluation maintenance model of social behavior.” Advances in experimental social psychology 21 (1988): 181-227.

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