…ふ〜。
あの人と話すと緊張するんだよなぁ…
どうしたの?冷や汗びっしょりだけど
今上司に報告してきたんだけれど、いつもやさしいし頭もいいんだ。
状況を理解してくれるし、アドバイスも的確だし、すぐ答えを返してくれるし。
でも頭が良すぎて怖い時があるんだよね
いいひとで頭も切れるけど、それが怖いってことね。
でも、その感覚は結構当てになるかもよ?
頭の切れる人にどうして恐怖を感じるのか、いつものように心理学とエビデンスから解説していこう
オナシャス!
頭が切れる人とは、問題解決能力が高い人
まず、頭の切れる人とはどんな人か確認しよう。
たとえば、ただルーチンワークが早くこなせる人のことを頭が切れるとは言わないよね?
そうですね。ルーチンワークが上手な人は、ただ仕事が速い人って印象です。
それよりはトラブル防止に動いたり、問題を解決したり、リカバリーがうまかったりする人の方が頭が切れるイメージです。
問題解決能力っていうのはすごくいい視点だね。
そう、私たちの言う頭が切れる人とは、記憶力がよかったり仕事が速い人ではなく、問題解決能力が高い人のことを言っているんだ
頭の良さとしての問題解決能力とは?
では頭が切れる人が持つ問題解決能力について解説しよう。
2019年Rahmanらの論文ではこれを21世紀のスキルと呼んでいる。変化の大きい時代には必須のスキルだな。
この論文では問題解決能力のことを「目的を達成するために、解決策を見つけるための観察や批判的思考を含むプロセス」1)と説明している
は?
わかりにくいからって圧をかけるな。
要するに、観察力があって、さらにさまざまな角度からものごとを考えられるってことだ。
ルーチンワークが速くても頭の切れる人だと思われない理由はこれだ
たしかに、ルーチンワークならぼんやりしていてもできるし、改めて考え直す必要性もないですよね
そうなんだ。観察力と言ってもただ見ているだけではダメだ。
論文によると、観察力とは、共通点や違いを見つけ、因果関係に迫ることを含んでいる。
それに、批判的思考では他の人の立場や考えの理解も要求される。1)
この力があると、視野が広く世界を色んな角度からフェアに見れるんだ。
ぼっちは感情論で話になりにくいという記事を以前書いたが、問題解決では視点の狭さというのは致命的なんだ
たとえば、
「一等が出やすい宝くじ売り場があるからそこで買ったらいいよ!」という話に、
「ちょっと待て。たくさん宝くじが売れる売り場だから一等が出やすいだけじゃないか?当たる確率は一緒じゃないか?」と観点を変えるとどうだろう。
実際にテレビやSNSで売り場に並んでいる人を観察すれば、自分は並んで宝くじを買う必要はないとわかるわけだ。これが問題解決能力だな
まとめ
問題解決能力が高い人は、観察力があってものごとを色んな角度から見てくる!
鋭い質問に恐怖を感じる
こういう問題解決の思考ができると、時にドキッとするような鋭い指摘や質問をすることがある。
ルーチンワークに「これ、なんでやってんすか?そもそもやらなくてもよくね?」とか言えるタイプだな
ちょっとひねくれものな感じですね
ああ。世の中の発明や進歩の源泉は、そのひねくれた見方なんだ。
常識に対する批判的思考が何度も世界を変えてきたんだ
じゃあ、他の人に「そんなのできるわけない」って言うのも批判的思考ですか?
勘違いしやすいんだが、それはただの批判だ。
ただの批判はむしろ思考停止に近い。批判的思考とは真逆だ。
職場によくいるが、文句しか言わない評論家みたいな人に問題解決能力はないだろ?
問題解決能力のある人は、批判的思考を生かして解決策まで結びつけられるんだ
たしかに…。
問題解決のために考えているのか、ただの愚痴なのかは全然違いますもんね
頭の切れる人は問題解決という目的があるから、鋭い質問するし話を逸らそうとしても戻される。
だから頭の切れる人には言い逃れが通用しない。
「今私が聞いているのは○○についてであって、あなたがどう感じたかではありません」
とズバッとやられてしまう。このノイズに流されない感じは怖さでもあるな
バチくそ怖いじゃないですか!
文句しか言わない人はウザいかもしれないが、怖くない理由はここにある。
問題を解決するという意識が低いから、話を逸らされたことにも気づきにくいんだ。
だが問題解決能力のある人は違う。
「え?マジで言ってんの?」と思うような角度からの鋭く質問してきたりする
ヤバいヤツじゃないですか。
私の感じていた怖さはそれなんですね
まとめ
頭の切れる人に論点逸らしは通用しないぞ!
答えを導き出せる頭脳は「問題側の人」の天敵
この問題解決能力というのは、仕事やプライベートでのトラブルなど、難しく答えのない問題に対して、自分の望ましい解答を出せるというチートスキルだ
すごいですね!
…でも、どうして私はその能力が怖いと感じてしまうんでしょう?
よく考えれば守ってくれる心強い人だと思うのですが
望ましい解決というのは必ずしもあなたの望ましい方向とは限らないからだよ。
たとえば、サービス残業が多くて有給も取れないブラックな職場があったとして、すごく問題解決能力が高い人を採用したとする。
この人はどういう行動に出ると思う?
ええと、労働者は有給は取りたいだろうし残業代も払って欲しいだろうし…。
あっ…もしかして
そう、自分にとって望ましい方向に問題を解決しようとする人なら、労基に駆け込んで問題解決するかもしれない。
もちろん行動によって発生するリスクを理解し、自分のトクになると判断したらだ。
自分のリスクを最小限にしつつ、利益を最大化するムーブをできるのは問題解決能力のたまものだ。
そもそもサービス残業させている方が悪いんだが、こういう問題解決能力の発揮は悪い経営者からしたら脅威でもある。
このように「問題」側の人は「解決」されちゃうわけだから怖いと感じるだろうな
まとめ
悪い人は頭の切れる人に「解決」されちゃうぞ!
頭が切れる人は普通に接している限り怖くない!
すこし怖い理由が見えてきた気がします。
自分の都合の悪い方向に問題解決能力を発揮されたら厄介だから、
怖いと感じたということですね?
その通り!
敵に回したくないという表現がぴったりだろうな。
だが、性格に難があるタイプでない限り、この手の人が脅威になることはほとんどないんだ。
もし性格に難があるタイプなら頭が切れようが切れなかろうが、シンプルに距離をとって仲間を増やすことだ。ここに頭の良し悪しは関係ない
頭が良くても脅威にはならない?
どうしてですか?
頭が切れる人は非常に合理的で、戦略性があるからだ。
長期的に自分にトクになるならやる、そうでないならやらない。
だから相手の行動基準がとてもわかりやすいんだ
なるほど…。
明らかに敵対するような行動をしなければ怖くはないってことですね?
そうだね。怖く見えても、感情的ではなく冷静なんだ。
だから過去に人間関係はしっぺ返し戦略が良いという記事を書いたが、このしっぺ返し戦略を取る人も豹変したように見えて怖いと思われることがある。
でも頭の切れる人は豹変したわけでも怒っているのではなく、自分にとってトクになるから冷静考えてやっているだけなんだ
暴れん坊将軍でも、上様が暴れるのは悪人相手だけですもんね。
恐れすぎず、頭が切れる人には友好的に接します!
まとめ
頭が切れる人は友好的に接していればこわくないぞ!
引用・参考文献
1)Rahman, Md Mehadi. “21st century skill’problem solving’: Defining the concept.” Rahman, MM (2019). 21st Century Skill “Problem Solving”: Defining the Concept. Asian Journal of Interdisciplinary Research 2.1 (2019): 64-74.