この記事まとめ
・休日の満足度を高めるにはルーチンを壊してマインドフルに過ごすことが重要という研究があります。いつもの休みをバカンスのように考えたり、普段の娯楽を縛りプレイで事で行うだけでも「今」に集中する事ができ、満足度や幸福度が高まるでしょう。
休日にやる事がなくてお困りですね。
「休みだけれど何をすればいいかわからない‥」「ただ一日を無駄にしてしまった‥」
せっかくの休みなのに、そんな風に感じてネガティブになることすらあります。では、良い休日を過ごすためのライフハックはないのか?できればお金を使わずにハッピーになれる方法はないものか?
この事について心理学のエビデンスから休みにやることを紹介しましょう!
ルーチンを壊すと休日の満足度が変わるぞ!という研究
今回参考にするのは2021年C Westらの研究で、「幸せは休日を休暇のように扱うとやってくる!」といったタイトルの研究になります。1)詳細は以下の通り。
- ルーチンだと楽しみが減ってしまうという先行研究がある。たとえば、チョコレートを1週間我慢したグループの方がチョコレートを制限しないグループよりも食べることを楽しめていた。
- 「休みを休暇(バカンス)のように考えて過ごしてね!」と言われたグループは、いつも通り休日を過ごしたグループよりもポジティブで満足度が高く、月曜日(休み明け)の幸福度も高かった。
- バカンスだと思って過ごしてもらったグループの方がややお金を多く遣ったが、出費に関してコントロールし揃えてもこれらのポジティブな効果は全て保たれた(つまりお金は関係なかった)。
- このメカニズムとして、バカンスのように休日を扱うとルーチンを壊すことができ、「今」に注意を向ける事ができたためではないかと思われる。
- だから、休日のメリットを享受したければ6語の指示で良い。「treat the weekend like a vacation(週末をバカンスのように扱え)」
というわけで休日を楽しく過ごすには何をするかではなく、非日常・特別感を持つことが大事なんじゃね?とこの研究では言っているわけです。この結果を元に休日やるべき事のおすすめを私が提案しましょう。
お金をかけずに幸福度が高くなる休日にやること4選
研究の結果から、休日で最も重要な事は「今」に注意を向け、最大限その経験を楽しむ事です。
なんか説教くさい事言い始めたなと思うかもしれませんが、私たちが「楽しい!」と思うような経験はほとんどがその経験に集中できています。
たとえば、旅行に行った時の事を思い出してください。道に迷ってGoogle mapと試行錯誤したり、場所を聞いたりしながら観光をすると思います。そういった不便や、たまたま入った店の食事がおいしくなかった事すら楽しかったのではないでしょうか。
つまり、旅行というのは慣れない≒非日常であり「今」の経験に集中でき状況が整ったアクティビティだから楽しいとも言えるのです。この今に集中している事をマインドフルネスというのですが、幸福度が高まるのも頷ける話です。
よって、この「今」への集中という条件さえ整えば、家だろうが楽しい休日にできるはずです。具体的な過ごし方についていくつか挙げてみましょう。
バカンスだと思って自分をもてなす
論文の通り「これはバカンスなのだ!」と思って自分をもてなしましょう。
たとえばいつもテレビを見ているかもしれませんが、極限まで環境を整えるというのはどうでしょうか。いつもお茶を飲みながらテレビを見ているのなら、氷を入れて冷たさが保たれるようなタンブラーに入れて立たなくても良いような環境にしたり、映画館のようにカーテンを閉めて映像に集中するのも良いでしょう。
大事なのは「非日常」であり、環境を普段と少し変えてみるとよいでしょう。ただいつものようにご飯を食べながらYoutubeを見るのでは特別感はありません。
縛りプレイをして過ごす
さらに、旅行もそうですが慣れない環境や新しいことをするとルーチンを壊す事になるので、「今」に強制的に集中することになります。
これを利用して、普段の楽しみに「縛り」をつけてみるのも一つです。
たとえば、「今日は500円という制限でどこまで楽しめるか挑戦してみる」というのはどうでしょう。小学生の頃、お小遣いで500円もらったらとなればまあまあの大金です。あの頃の気持ちを思い出してください。あなたは500円のお小遣いをもらいました。大金ですが、自動販売機で160円のジュースを買った瞬間に1/3近くが消えます。
こうなると「とりあえずベンチで一服しながら考えよう」のようなノリでお金を使う事はできず、熟慮する必要があります。本を買うにしても玉石混交の中古本になるでしょうし、目利きは重要になります。自分の能力をフル活用しなければ500円で楽しむことはできません。
このように制限を加える事で普段と違う環境や思考になり楽しめるということです。なにか行き詰まりを感じていて問題解決の着想が欲しい時なども、行動パターンを変えるという意味で縛りプレイをしてみると良いかもしれません。
不便や制限というのはネガティブにとらえられがちですが、時に生きるエネルギーを与えてくれたりもします。「何故生きるかを知っているものは、殆どあらゆる如何に生きるか、に耐えるのだ」2)とヴィクトール・フランクルの夜の霧に引用されたニーチェの言葉には真実が含まれています。
瞑想をする
繰り返しになりますが、休日を過ごす際に最も大事なのはマインドフルであることです。
つまり、休み前にマインドフルネス瞑想を行う事で「今」に集中しやすくなり、より趣味やアクティビティを濃く楽しめるということです。今まで出した方法と重ね掛けができるという点でマインドフルネスは優れています。
実はマインドフルネス自体が幸福度をあげるという事は結構言われていまして、2011年EW Dunnらの論文でも
- 楽しい活動(音楽を聴く、運動する等)と楽しくない活動(仕事など)でも、活動による幸福度の差は驚くほど小さい
- 不快なマインドワンダリングは幸福度めちゃめちゃ低く、やっている事に集中している時に幸福度が高い。マインドワンダリングは幸福度を低下させる原因だ!3)
といった事が言われています。楽しい事をしているから集中しているのではなく、仕事でさえ集中していると幸福度が高くなるという事ですね。
つまり「なんも面白い事なーい。つまんなーい」という人は、活動のせいではなく何かに集中できていないから幸福度が下がっている状態です。よって、このマインドワンダリングを減らすようなトレーニングをすればいいわけです。つまり瞑想をしましょうということですね。
マインドフルネス瞑想については5年間続けた瞑想の経験とエビデンスをブログにまとめてみたにて解説をしていますので気になる方はそちらを参照してください。
限られたお金は体験のために
お金があれば充実した休日を過ごせるのに‥と思うかもしれませんがどうやらそれは正しくないようです。
2011年Dunnらの「お金を使って幸せになれないなら使い方が間違っている」というタイトルの論文でも、幸福のためには多くの体験を買え!3)という事が言われています。
私の場合、最近良かった経験としてBluetoothスピーカーを購入した事があります。別に音楽を聴くだけだったらスマホだけで事足りるのですが、BALMUDA The Speaker M01A-BKという音と光が連動するタイプの商品だったのでより音楽に集中できる環境になったのではないかと考察できます。
結局、お金を使うにしてもマインドフルネスかどうかが重要ということですね。満足度を高めるには限られたお金を使うなら体験や経験に注目して使うと覚えておいていただければと思います。
また、落ち込んだ時や気分を切り替えるにはストーリーだという気分誘導手順についての記事を以前書きましたが映画やストーリーに没入するというのもマインドフルになるには良い方法です。
引用・参考文献
1)West, Colin, Cassie Mogilner, and Sanford E. DeVoe. “Happiness from treating the weekend like a vacation.” Social Psychological and Personality Science 12.3 (2021): 346-356.
2)夜と霧. (2002). 日本: みすず書房.
3)Dunn, Elizabeth W., Daniel T. Gilbert, and Timothy D. Wilson. “If money doesn’t make you happy, then you probably aren’t spending it right.” Journal of consumer psychology 21.2 (2011): 115-125.