この記事三行まとめ
・不幸体質は本人のせいだけではなく、周囲の人間関係が悪い事がある。
・許容しすぎるクセがついてしまうと、良くない人間関係を引き寄せるループにハマってしまう。
・しっぺ返し戦略により長期の人間関係の質も変わり、良いループに変えられるかもしれない。
良いループと悪いループの分かれ目ね
なんだか幸せだと感じられない。つまらない。いつも自分ばかり損してしまう。
そんな風に思う事はありませんか?もしかすると、不幸体質の傾向があるかもしれません。
そして、不幸体質の方は本人の問題だけではなく周囲の人間関係に恵まれていない人が多いのです。
考えてみて欲しいのですが、あなたに困った事をしてくる人が多い環境と、困ったら助けてくれたり一緒に喜んだり、励ましてくれる人が多い環境。どちらが幸せを感じる思いますか?愚問ですよね。
ではどうすれば不幸体質を改善していけるのかを論文から考えていきましょう。
人間関係の長期ループで不幸体質は作られていく
以前人間関係にはしっぺ返し戦略が良いよという記事を書きました。このしっぺ返し戦略がもっと長期の人間関係の質に影響する可能性があるのです。
つまり、良好な人間関係を作れている行動パターンの人は時間が経つごとにどんどん恵まれた人間関係になります。逆に良くない人間関係を作ってしまう行動パターンだと長期でより沼にハマる=不幸体質になってしまうということです。
今回はしっぺ返し戦略を行なった人と行わなかった人で長期で見た場合、人間関係にどのような違いが出るかについて実体験を織り交ぜながら具体的に考察していきます。負のループを断ち切る方法を一緒に考えてみましょう。
不幸体質改善にはしっぺ返し戦略
相手も一人の人間、あなどってはいけないのね
しっぺ返し戦略とはゲーム理論の考え方で、簡単に言えば「やられたらおかえしする、しかし相手が協力してきたら協力する」というものです。
例えば、相手が嫌な事や気乗りしない事を伝えても聞いてくれない場合、こちらも譲歩せず協力しないというのがしっぺ返し戦略になります。このしっぺ返し戦略を行った後、相手の行動は3つのパターンがあります。
- 毅然とした態度で伝えるとおずおずと退散し関わらなくなる
- 相手の行動がまっとうな人間関係のものに変わる
- さらにエスカレートする
あなたが1番心配しているのは3番目の状況が悪化する事では無いでしょうか。確かにその可能性はあります。そして、経験上ですが適切にやり返せている限りその可能性かなり低く、ちゃんと対応すれば多くても2回くらいで懲りるようで1か2の好ましい方向に変わります。
イヤな事はイヤだと言えるために必要な事
ただし、ゲーム「理論」の考え方ですからあくまで理論であって、現実ではありません。理論どおりに行くのであればこの世からあなたの悩みはとっくに消えているはずです。現実はそこまで単純でもきれいでもなく、現実世界に適応させるにはしっぺ返しすればOKいう部分だけを切り抜くわけにはいきません。このしっぺ返しは正当で、さらにしっぺとしての強度両方が必要になります。
もっと言えば、よくない人間関係の人たちは「あなたには何をしても大丈夫と計算したうえでやってきている」という事も理解しなければなりません。不幸体質の人は決まって優しいという特徴があります。つまり、あなたに対して「この人は断れないだろう」と思って行動してくるという事です。
ではその考えを容認するのか?もちろん違います!
よくないコミュニケーションをしてくる人にそういう状況を作らせない。いい人であるあなたに手出しをできないように、説得力のある声で話す方法や信頼できる人の3つの要素などの知識をつけ、仲間の信頼を得ておく事を普段から行う事が第一の戦略になります。
そして、いざしっぺ返しをする時にこれらを発動することで、初めてしっぺ返しは効力を発揮します。一人ではなく周囲に信頼できる人がいるというのはそのまま「NO」という力になります。
不幸体質の「優しい」という特徴をうまく生かす事が大事
しかも、優しくていい人はこういったしっぺ返しとの相性がかなり良く、戦略として極めて有効なのです。
なぜこの方法が有効かというと、相手にとって不意をつかれる事になるからです。先ほども申しましたように、不幸体質の人は優しいという特徴がありますから、相手も「この人には何をやっても大丈夫」という打算があって行動している事が多いです。
ですから、優しくていい人が「毅然と、的確に対処してくる」という選択肢は頭の中にまずありません。相手は不意をつかれる形で反論をもらう事になるので、しっぺ返しをされると多くの場合目に見えて動揺します。
私も社会では一見人当たりの良いと分類される方で、多くの人とは友好的な関係を築けるのですが、優しそうな態度だと調子に乗ってくる人も5%くらいいます。
その人にどうするかというと、前述のようにあらゆるものを使って思いっきり反論します。おかしい点には毅然と反論し、周囲の仲間と協力し、力のある人を味方につけます。
優しい人でいるためには、ある程度の準備が必要です。相手は状況を見て行動しているという前提に立てば、その時のための備えは必要でしょう。元エリート自衛官のわびさんも書籍「この世を生き抜く最強の技術」内で「一線超えたら打ちますよ」の気概を持てと述べています。2)いざと言う時はしっぺ返しも一つの手です。
不幸体質改善には「相手のワガママへの許容」を直す
実際に私の周りであったことです
さらにしっぺ返し戦略には長期的なメリットがあり、あなたの人生からわがままな対応をする人が減っていくというものがあります。そういう人に適切に対処している限り、わがままな行動を改めるかあなたの元を去っていく事になりますから、理屈上あなたの周りにはいい人だけが残ります。
良い事はそれだけではなく、去っていったわがままな対応をする人の友人にもあなたの情報は共有されます。つまり、わがまま行動をする仲間達まであなたに近づかなくなるのです。これは私自身の経験談で、短期的に人間関係が良くなるだけではなく不幸体質の予防にまでなります。長期的にはますます余計なトラブルが減るのです!
逆だと大変です。2019年の論文によると、相手の行動を許容してしまうと相手は学習し、より行動を繰り返すようになります。1)
ワガママを許してしまいすぎた子の例
私の友人にも優しくなんでも許してしまう子がいたのですが、いつも損ばかりしており、相手からのあつかいもよくありませんでした。どうもあまりよくない男性ばかりと関わってしまう。それも何度もです。
「その人とは会わない方がいいよ」「断った方がいいよ」と彼女のためを思って心配して友人たちは言うのですが、あいまいな返事をするばかりで彼女は聞く耳を持ちません。そのうちに、友人たちも愛想をつかして離れていきます。逆にすい上げるする人にとっては都合がいいのでさらにそういう人がすり寄ってきます。
自分の事を思ってくれる人達は離れ、すい上げる人の行動をますます許容するように学習してしまった彼女はさらに困った男性ばかりを引き寄せる事になります。
ここまで沼ると私たちが彼女に何を言ってももう心には届きません。彼女たちに特徴的な言葉としては、「運が悪くて」「そういう人ばかりで」「あいてもかわいそうだから」といったものがあります。やはり不幸体質の人は人を許すし、やさしいという特徴があるのです。
人と場所を変えて繰り返す彼女はこういった負のループにハマってしまっている可能性が高いでしょう。結局この友人とは徐々に疎遠になっていきました。
このエピソードは私の狭い人生経験からの意見にすぎません。しかしあなたを不幸にする人たちにどう対応していくのがよいか、立ち止まって考えてみてください。私はおかしな対応をされるような状況を作らせない、味方を増やしておいてきっちり反論する、というのは一つ良かった方法だなと感じています。
負のループから脱出するには、他の心理学の知識もきっと役立つと思います。幸せになるには、知識をつける事です。あなたにはやさしいという素晴らしい特徴があるのですから、それを生かす方法を一緒に学んでいきましょう。
引用・参考文献
1)Fujimoto, Yuma, and Kunihiko Kaneko. “Emergence of exploitation as symmetry breaking in iterated prisoner’s dilemma.” Physical Review Research 1.3 (2019): 033077.
2)わび.メンタルダウンで地獄を見た元エリート幹部自衛官が語る この世を生き抜く最強の技術.ダイヤモンド社.2022