この記事まとめ
・基本として人を信用しない=守りが強い。一方、信用から得られるメリットは少なくなりやすい。
・上手に信用するスキルを学ぶことで、信用するデメリットを減らしてメリットを多く得られる
・そのためには、信頼のボリュームとしっぺ返し戦略を押さえておくといい
人を信用して傷ついたり、痛い目にあったことはありませんか。
わたしはたくさんあります。
「えっ!?ウソでしょ?」
「いやいや、言ってること違うじゃない!」
そう思ってもあとの祭り。だまされた自分が悪かったのか…と肩を落としたことは一度二度ではありません。
そんな傷だらけのわたし達が、リアルでうまく生きていく方法を心理学の観点からシェアしていきます。
人というのは状況によって信頼できないもの
人は時と場合により信頼できないものです。
約束は破られることがあるし、手のひらを返されます。
立場のある人に裏切られたケース
わたしも権力のある人が自分の立場を守るために、掃いて捨てるように扱われたことがあります。
今でも鮮明に思い出せるのですが、あれは本当に悔しいものがありますよね。
そして時間が経って冷静になり、逆に立場になって考えてみればわかるのです。
「協力していたのはあくまで必要があったからで、裏切った方がトクだと思われたからいいように扱われたんだ。今思えば、それに気づくチャンスはあった気がする」と。
ですから、他人は信用しすぎない。裏切られることも想定しておく。
わたしが出したこの結論自体は間違っているわけではなく、合理的なものでしょう。ノーガードだったわたしが悪かったとも言えるわけで。
手札はフルオープンにしない。
完全には相手に委ねず、いざという時に備えておく。
これは合理的なリスクヘッジであり、基本信用しないというのはあなたの聡明さのあらわれでもあります。
いつまでも無垢なままでいることは危険がつきまとうのです。
そもそも信用できない相手の特徴
わたしの経験だけでは不足でしょうから、そもそも信頼できない人はどういう人かを考えてみましょう。人間は信頼を能力・誠実さ・慈悲深さで判断すると言われています。1)
まず、わたしたちが何をもって相手を信頼できると判断しているかを、理屈として押さえておくと理解しやすいでしょう。
ですから、あなたが相手を信頼できないと感じているのは、相手方の素行に問題があるパターンの可能性が十分にあります。
言い方はアレですが、「能力がなくて言ってることコロコロ変わる自分勝手なやつ」であれば、言っていることを鵜呑みにするのは危険です。
怪しいビジネスに誘われたけど、回避できた経験
わたしは以前知人から怪しいビジネスに勧誘されたことがあるのですが、この知識でピンチを脱することができました。
突然かかってきたその電話口からは「不労所得」とか「タワマン」とか「海外旅行」といったキラキラワードが出るものの、具体的に何をするのか、詳細がまったくわからないのです。
「ごめん、さっきから何をするのか全然わからないよ」と言うと、「詳しいことはわたしの尊敬する人が説明するから、喫茶店に来てほしい」とウキウキしながら言ってくるのです。
相手から悪意はまったく感じません。
わたしはその人の事を悪い人ではないと思いますし、他人を食い物にしようとするタイプではないと思います。
ですが、説明能力に疑問が大きすぎる。というわけで秒で断りました。
そしてあとから調べたところ、やはり儲かる見込みの少ないひどいビジネス(?)だったのです。
相手に悪意がなくてもその領域の能力・判断能力がない人はちょっと危ういというのがわかると思います。
悪意があってこちらを騙そうとしてくる人はわかりやすいですから、ある意味対処しやすいです。
ですが、あなたがいい人だと、相手に悪意があるかどうかだけで信頼を判定してしまい、相手の能力という観点を見落としてしまうことがあるのです。
この経験は、誠実さややさしさだけではなく、相手の能力が信頼できるかどうかを押さえておくのが大切という例だと思います。いい人こそ、このポイントはちょっと気をつけてみてください。
上手に信頼できるスキルは利益を生み出す
つぎに、他者を信用しないというのは最強の盾である反面、攻めが甘くなるということも知っておきましょう。
きれいごとなしに、信用して協力すればメリットが多いというのも事実なのです。
たとえば、他人を基本的に信用しない人でも、「大企業は信用している」とか「この場面ならこの人を信用できる」と切り分けているはずです。
信用するということは相手との協力関係を結ぶということでもあり、相手から何かを受け取ることでもあります。
わたしも仕事を受けたのに、お客さんからお金を払ってもらえなかったということもあります。かわいそうですね。
ですが、相手をまるで信用しなければ仕事は取れず、いつまで経ってもゼロ円なのもまた事実です。つらいですね。
このように、信用がなければわたし達の可能性をかなり狭めてしまうことも多いのです。
ですから、状況に応じて上手に「この人は信頼できる」「今は信頼しちゃダメ」という使い分けする能力を育てておくことが重要です。
そうすれば、信用のデメリットを減らしつつもメリットはしっかり受け取れるというわけです。
チャンスは逃がさず、リスクはしっかり管理する。できればこの状態になっておくと幸せになりやすいとわたしは思います。
信頼は「ボリューム」だと考えてちょっとずつ調整しよう!
しかし、騙されて痛い目をみた人の中には「人なんてもう信用しない方がいいな」と完全に守備を固めて損失をゼロにしようと考える人がいます。ええ、わたしがそうでした。
だから気持ちは理解できるのですが、信用するかしないかを10かゼロかで考えるというよりは、信用はボリュームスイッチのようなものとして考えた方が良いです。
「今この人の信頼ボリュームは7メモリ」とか「最近嘘ばかりついているから信頼ボリュームは2」のように、信頼には程度があると考えてみるのです。
この時のポイントは「いきなりメモリを動かしすぎない」ことです。
「あーあ、この人嘘ついてらぁ。もう信頼はゼロ!」みたいにするのではなく、「約束覚えてて守ってくれたな、1メモリ増やそう」「これはよくないな。2メモリ下げよう」と言ったように小刻みに何度も調整するのです。
そもそも、人間は不完全なものであるという前提に立てば、完全に信用できる人はいません。逆説的に、完全に信用できない人もいないでしょう。
ですから、ほとんどの人が「まあ時には信用できるし時には信用できない。どちらかというと信頼できる方/できない方だ」と、信用をグレーゾーンの濃淡で表現することになるはずです。
もし、あなたの周りの人間みんなが信頼10とか0しかないというのであれば、あなたの信頼メモリの動かし方が大胆すぎるかもしれません。
スイッチというよりは間接照明の明るさ調整つまみのように、グラデーションがあるものだと考えてみると、信頼を上手に扱うことができます。
信じていいかわからない時は、とりあえず「しっぺ返し戦略」だ!
とはいっても、初対面やあまり知らない相手の信頼ボリュームをどこに設定すればいいかなんてわからないですよね。
関係が長引くにつれてだんだん相手の信用のボリュームが理解できるのですが、初対面でウソばかり言ってくる人だって世の中にはいるわけです。どうやって信頼を取り扱えばいいのでしょうか?
こうした協力問題についてゲーム理論では、「しっぺ返し戦略」が有効とされています。
これは協力/裏切りが繰り返されるゲームで有効とされているものです。
一言で言えば、「まず信頼から入って、そのあとは相手のやったことをそのまま返す」というものですね。
とはいっても、立ち直れないほどの騙されは避けなければなりませんから、わたしは「明らかに信頼できない相手以外は、だまされても許容できる範囲でまず信頼してみる」というルールで動いています。
つまりこちらは信用するスタンスだけれど、今後どうなるかは相手次第というわけです。
シンプルすぎるルールに感じますが、「基本的に人を信じない」よりもこれはずいぶん柔軟性のあるルールになります。
もちろんそれでも信頼を裏切られる可能性はあるのですが、しっぺ返し(その後は相手を信用しない)を行うため、その損失は一回こっきりで限定的です。
つまり「これくらいなら裏切り者にくれてやってもいい」というレベルで相手を信用するのです。
これなら何度も裏切られ続けることはありませんし、あなたは基本協力的なので仲間はどんどん増えていきますし、多くの人に助けてもらえます。
信用をすることのメリットを大きく取りやすい優れた方法の一つです。
信頼というものに確実はありません。
ですが、これらの方法を応用して「守りベースでも信頼をうまく使えるように振る舞っていく」というのは賢い選択の一つだと思います。
そのために人の心理を学んでおくことは良い選択かもしれません。
人を読む心理学や仕事で使える心理学カテゴリの知識も頭に入れておくと、結構役立つかもしれませんよ。
引用・参考文献
1)Mayer, Roger C., James H. Davis, and F. David Schoorman. “An integrative model of organizational trust.” Academy of management review 20.3 (1995): 709-734.
