この記事まとめ
・2020年の研究では心拍数の妥当性が十分テストされているのは研究の時点でApple watch、Garmin、Fitbitくらいしかない。安静時であれば結構正確に測定できそうだが、手を動かすタスクでは心拍数の妥当性はどれもかなり落ちそう。ただし、私はバンドの長さを自由に調整できるものに変更するとかなり改善した。
アップルウォッチなどのスマートウォッチをつけている人が増えましたね。
しかし、これらのスマートウォッチの心拍数は実際のところどれくらい信頼できるものなのかというのはやはり気になるところですよね。それに、私も使っていて心拍数がたまにおかしい数値になる事がありました。
これってメーカーによって得意不得意みたいなのがあったりするんでしょうか?それとも他に理由があるのでしょうか。論文と私の経験談が参考になるかもしれません。
フィットネストラッカーとしての信頼性についての論文
というわけで、フィットネストラッカーとしての信頼性と妥当性を調べてくれた2020年Fullerらの論文1)によると、
- 心拍数の妥当性が十分テストされているのは研究の時点ではApple watch、Garmin、Fitbitのみだった。中でもApple watchとGarminの正確性が高く、Fitbitは心拍数を少し少なく見積もる傾向。
- Fitbit Charge2はトレッドミルや運動などでは良好な信頼性があったが、雑巾がけなどの手の動きが多いと信頼性が下がった。
- 歩数はApple watch, Samsung,Fitbitの正確性が高かった。
- エネルギー消費量はどれも誤差が多くてまだ許容できるレベルではない!でもアルゴリズムが他とは違う式を使っているためかFitbitが一歩リード。しかしモデルによって差が大きい。
- まだこれを選んどけ!みたいな際立ったブランドはないよ!
といった感じです。
心拍数測定の正確性ではApple watchとGarminが一歩リード
これといった出色のブランドはないものの、心拍数という面で一歩リードしているのはApple watch ,Garminでしょうかね。それにFitbitが追従しているといった印象です。他のブランドも調べてくれているのですが、データがしっかり蓄積されているのというとこの辺りになってしまいます。
特にFitbitのデータ量は出色で、データが多いという事はハードウェアもソフトウェアも改善に有利と考えられます。googleがfitibitを買収したのも頷ける話です。
ただし、この論文でも触れられているようにウェアラブルデバイスはアップデートされていますし、最新モデルだとどれも別の結果が出るかもしれないという事は頭の片隅に置いておきましょう。
そもそも手を動かすと心拍数はおかしな数値が出やすい
この論文ではFitbit charge2では手を動かすタスクだと精度が下がるという結果が出ていますが、これはFitbitの検証データの多さゆえかなという気がします。手を動かすとノイズを拾ってしまうというのはこのメーカーや機種に限った事ではないでしょう。
なにせ私もアップルウォッチを使っていますが、小刻みに手を動かすようなタスクをしているといきなり心拍数170になったことがあります。かと思えばふと見るといきなり心拍数が40台になっていたり。このことから、ある程度腕の動きを伴うような状況下ではどれも信頼性は下がりそうです。それが手首にしっかりフィットしていなければなおさらです。
私の場合はバンドを変えるとかなり改善された
たとえばデフォルトのバンドなどを使用している場合、穴の間隔では手首の太さをうまく調節しきれていない事があります。その場合、穴ではなく自由に調整できるタイプのバンドを利用すると改善される事があります。
私の場合は、一つ締めるときつすぎる、かといって一つ緩めると遊びすぎるという状態でしたから、バンドを変える事でおかしな数値が出る事がかなり改善されました。同じような状態で悩んでいる人はそのような自由に調整できるタイプのバンドを試してみても良いかもしれません。
あえておすすめするなら機種はApple watchかFitbit
私はApple watchを使ってるよ
「バンドでちゃんと調整しないとおかしい数値が出るのは、そりゃそうでしょ」
「で、結局総合的に正確性のバランスが取れてるスマートウォッチが欲しいんだけど、何がいいのよ」
というあなたのために、先ほどの情報からあえて信頼性・正確性が高いものを選ぶならば、iphoneならApple watch、AndroidならFitbitになるでしょうか。アップルウォッチは心拍数の妥当性が検証されていますし、Fitbitも然りです。
Fitbitは心拍数を少し少なく見積もる傾向はあるかもしれませんが、歩数も正確でエネルギー消費量は唯一と言っていいくらいまだマシな範囲。エネルギー消費量を参照する使い方をするなら、私ならFitbit一択です。それに、研究データ数が多いですから改善を期待してしまいます。
iOSではこれからEHRが強みになるかも
補足としては、iOSの方がEHR(Electronic Health Record:電子健康記録)のアクセスや情報利用に強く、もしこれが実際に健康維持改善に効果があるとなるとandroidユーザーと健康格差を生じるかもしれない2)と2019年New England Journal of MedicineのSimらの論文で言われています。
今後の開発次第ですが、フィットネストラッカーはただの心拍数や消費エネルギーを超えたもっと多くの健康管理に役立つ可能性を秘めています。そしてそれはアップルが一歩リードしそうかなという話です。ただ、今の段階ではハイエンドモデルである必要はなさそうかな‥というのが私の印象です。
おそらくこれらの機能がフルに使用された場合のインパクトはかなり大きく、その際はそういった面からも選ぶのはアリアリでしょう。そしてその日はそんなに遠くないと思います。頭の片隅に入れておきましょう。そして本格的に使われ始めた時は、友達に「フィットネストラッカーはやっぱEHRが‥」とドヤって教えてあげてください。
これからどんどん伸びそうな分野ね。機能追加に期待!
引用・参考文献
1)Fuller, Daniel, et al. “Reliability and validity of commercially available wearable devices for measuring steps, energy expenditure, and heart rate: systematic review.” JMIR mHealth and uHealth 8.9 (2020): e18694.
2)Sim, Ida. “Mobile devices and health.” New England Journal of Medicine 381.10 (2019): 956-968.