
さっきの人強烈でしたね。
まさか仕事の業績だけじゃなく学生の頃までさかのぼって過去の栄光を語り始めるとか…。
自己顕示欲強すぎじゃないですか?

うん…まあかっこよくはないよね。
でもこの手の自己顕示欲の強いキャラは一定数いるもんだよ。あまり気にしない方がいい

そうですね。
…ただ、どうして彼らは口では自信があると言っているのにあんなに必至なんでしょう?
それにこんなことしてたらむしろ小者だと思われませんか?

いいところに気がついたね。
じゃあ今回は、自己顕示欲の強い人がどういう心理なのか、さらに末路はどうなるかという事について心理学とエビデンスから解説しよう!

お願いします!
自己顕示欲の強い人は顕在的ナルシシズムの傾向

結論から言うと、自己顕示欲が強い人はナルシストの可能性がある。
それも顕在的なナルシシズムという特性が強いかもしれない
1991年Winkらのナルシシズムに関する論文では、以下のようなことが述べられています
- ナルシストには顕在的なナルシシズム(誇大性)と潜在的なナルシシズム(脆弱性)の二面性があるっぽい
- このうち顕在的なナルシシズムには攻撃性や自己称賛、誇大性、尊大な自信などがみられる。この傾向が強いと人間関係のトラブルや人格的成長の欠如と関連しており、他者からの称賛を過度に求めたりする
- 潜在的ナルシシズムは不安や内向性・過敏性がみられる。こちらは悲観主義や充実感の欠如などと関係。
- どちらのナルシシズムもうぬぼれてワガママで他者の希望を無視するという点は共通している。どっちにしても過度だと心理的問題やうまく機能しない事が多いよ!1)

おぉ、まさにこれだ!
「オレ/わたしすごいんだよね〜」みたいな言動は顕在的なナルシシズムなんですね!

そうだね。とはいってもこれらの要素は白黒はっきりしているというよりは濃淡で、少なからずその特性は持っているんだ。
多少ならいいかもしれないが当然過度になると問題が発生する

たとえばどんな問題が起きるんですか?
詳しく教えてください
自信がありすぎて全く成長できない

自己顕示欲や自信といった顕在的ナルシシズムが強すぎると他者への攻撃性やトラブルの原因にもなる。
特に自信というのが厄介だ。これらが組み合わさると自信が強すぎるため欠点を直したり成長できない。
なぜなら自分が完璧な人間なら直すポイントもないという考えは、論理構造としては正しいからだ

おおぅ…。もうお腹いっぱいですよ…。
でも、完璧で自信があるならどうして攻撃的になったり称賛を求めるんですか?
わたしなら自分が正しいとわかりきってるなら生暖かい目でスルーしますよ

言ってることはわかるが、各人の持つ要求水準や指向性はあるだろうな。
お金を持っているからといって「もうお金はいらないや」とは思えないのが人間だろう?
ショーペンハウアーも「富は海水のようなものだ。飲めば飲むほど喉が渇く」と言っている。
他者からの承認や称賛も同様で、人によってはいくらでも欲しくなってしまうんだろうな。何よりも優先してしまうほどに

足るを知るのが大事ってことですね

そうだね。自信を持つことが悪い事ではないんだ。
自信を持つことで「有能っぽい」と印象良く思われることもある。
だが改善の努力ができないほど深刻な過信の場合は「おやおや?この人は口だけなんじゃないか?」とそのうちバレる。そうなると落ちるまではあっという間だ。
何事もほとほどじゃないと危険ってことだな
まとめ
求めすぎると危ない!昔の人はいいこと言ってる!
自分を誇示するためなら他の人のことを気にしない

なんとか自分が優れているところを探り当てて、周りを下げてでも優位性を誇示しようとするんだ

…ん?この話どこかでも聞いたような…?

自慢の科学やプライドの高い人の心理学とかでも少し触れたな。
苦し紛れに他者と比較する事で、まわりくどく自分の優位性をアピろうとするんだ

あ~、そういう人いますよね。
「この人余裕ないのかな?」って感じます

その印象は正しいだろうな。彼らの行動は完全に裏目に出てしまっているんだ。
こんなことをしているから心の底から「すごい人間だ!」と思われることを渇望しているのに、他者から本当の意味で認められることはない。キツイな
まとめ
自己アピール大失敗!!
自己顕示欲が強すぎる人の末路は、静かに孤立していく

これらの結果、自己顕示欲が強い人の末路として一番多いのは孤立だ。
正面から対立することもあるが、たいてい静かに距離を取られて孤立していく

そりゃ会うたびに「わたし/オレすごいんだよね」とかマウント取ってくる相手と関わりたくないですもんね。
しかも自信過剰だと思考や判断も軽率そうです。
一緒にいても楽しくないし思い込みも激しいなら付き合いたくないと思っちゃいます

冷静になれば、他者を尊重しないような態度をとれば見下げ果てた人だと思われるとわかりそうなものだが、ここでも過度な自信が悪さをする。
トラブルが起きても自分のせいとは考えないから、そのまま突っ走ってしまう

結果として孤立してしまうというわけですね。
たしかに話聞くだけでもトラブル起こしそうですねぇ…。
自覚もないから孤立するところまで行ってしまうんですね
まとめ
最終的にはぼっちになる
自己顕示欲が強すぎる人の改善方法

ところで、この顕在的ナルシシズムの自己顕示欲を改善できるような対策ってあるんですか?

対策か…対策ね…
うーん、難しいな…。

オイオイちょっとちょっと!
いつもなら「対策はあるから安心してくれ」なんてエラそうに講釈を垂れているところでしょうが!がんばりなさいよ!

いやそうしたいところなんだけどな…。
さっきも言ったが自信過剰でうぬぼれている人が改善しようなんて考えるか?
ムダに高い自己評価と客観視のできなさが顕在性ナルシストの特徴だって言っただろ?
「思いあがってはいけないな、自分のこの点はよくなかった。客観視できるようにトレーニングが必要だ」と思って自分の欠点と向き合うようなヤツは、ただの向上心のある謙虚なヤツだぞ

うっ…確かに…。

もし「潜在的」ナルシシズムの方なら、お決まりになるがCBT(認知行動療法)だろうな。
不安から自己アピールしたりするから、その脆弱性を客観視しつつ、バランス思考に近づけていけば誰からも尊敬される謙虚な人に…

うん、顕在性のナルシストにはムリですわこれ。
自分に問題がないと思ってるのなら改善する必要性なんてないですもんね。
もし自分にそういう傾向があるなと思ったらCBTをやるくらいに考えておきます。
じゃあ、顕在的ナルシストから受ける悪影響への対処法はありますか?

それなら可能だ。距離を取ることだ。
自分が不快な思いをするなら必要以上に関わらない。
そして、その際の注意点が一つあるから次の項で解説する。これは重要なことだから覚えておいてくれ
自己顕示欲が強い人に言い返さない方がいい科学的理由

注意点として、ウザいと思ったとしてもナルシストの人にそれを言い返すのはおすすめしない。
なぜかというと、恨まれてやり返される可能性が高いからだ。
詳しくは人の恨みは恐ろしいという記事で書いたが、尊敬されていないという敬意の欠如に対してナルシストは過剰反応するんだ。
だから正論をかますよりも静かにフェードアウトが正解ってわけ

でも、身勝手な相手には捨て台詞で「あなたは自己顕示欲が強すぎてみんなから煙たがられてますよ。尊敬なんてもってのほかです」とか言ってやりたくなりますよ

やめておけ。
改善の余地がない、話し合いにならないなと思ったら静かに穏やかにフェードアウトする方がいい。
その時に捨て台詞などは残さないこと。これは守った方がいい。
そうしないと相手は損得なしにあなたにやり返そうとする可能性がある。
相手が論理や合理を度外視した行動に出る可能性は高めるべきではない

自分の身を守るためにも、良きところで距離を取ることも大切なんですね

そうだ。
わたしの友人にも思い当たる人はいるが、やはり同期から距離を取られている。
年齢を重ねるほどその傾向は強まっているし、なにより成長・改善できないのは本当にキツイと思う。
話していても悪い意味で学生の頃と変わっていないから、順調な成長曲線を描いている人はその差に「キッツ…」と思ってしまう
経験を重ねていくとより話が合わなくなっていくんだ

付き合いの中でムリになっていくのは、あなたが成長している証拠でもあるんですね

そうだね。そして共に認め合って成長できる人と付き合う方がよほど建設的でハッピーな人生じゃないかな。
もし心地よくない関係なら、静かに距離を取ってしまうのもアリだと私は思うぞ。
親身に話を聞くのは美徳だが、お人よしもほどほどにな!
まとめ
言い返したくなる気持ちをこらえて、ヌルっと静かにフェードアウトしよう!
引用・参考文献
1)Wink, Paul. “Two faces of narcissism.” Journal of personality and social psychology 61.4 (1991): 590.