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心理学Q&A「自分の意見を言わない人ってずるくないですか?」

うずくまる男性 お悩み相談と自己改善の心理学
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あの人自分の考えを言わないですよね。ずるくないですか?

他人ごとというか、会議にいる必要すらない人って確かにいるね。
確かにイラっとすることはある。そして私はずるいとは思わない

ただぶら下がってるだけの人を擁護するんですか!?

私がそんな聖人なわけないだろ。
私は受け身な人が損している理由がわかっているし、その対処法も知っているだけだ。
疲れているとイライラはするが、自分の方がトクをしているとわかっているから折り合いをつけられるぞ

どうして相手の方が損をしているんですか?
その理由と対処法とやらを私にも教えてください!

よし、じゃあ今回は自分の意見を言わない人が損をしている理由と、イライラした時の対処法心理学エビデンスを元に解説しよう!

オナシャス!

自分の意見を言わない人をずるいと感じる理由

まず、世の中には自分で道を切り開くタイプと、受け身なタイプがいる。
このことがあなたが疲れてしまったり、相手をずるいと感じてイライラすることに強く影響している

そりゃ言っていることはわかりますが…たしかに受け身なタイプは良くも悪くも自分の考えを言わないですよね。
「あなたって何も言わなくてずるいですね」って一発言ってやりたくなりますよ

気持ちはわかる。
実は、私たちのように自分の意見を言える主体性のある人は、問題に対して「言いたいことを黙って我慢しよう」と思うことに疲労を感じやすいタイプなんだ

アグレッシブな人にばかり負担がかかってしまう

2024年Ozerらの職場の問題について黙っていることの悪影響についての論文では以下のように述べられています。

  1. 仕事場の問題や苦情などのストレスを黙っている人は感情疲労と正の相関があり、仕事の遂行能力やクリエイティブさとは負の相関があった
  2. これらの傾向は内部統制の所在が高い時により強くなる1)

えっと…不満を言わないと疲れてしまうし、結果的にパフォーマンスが低下するってことですよね?

そうだ。
そしてこの傾向は自分で道を切り開くタイプ(内部統制が高い人)に顕著なんだ。たぶんこれを読んでいるあなたはこのタイプだ。
言い換えれば人生は自分次第で、自分で解決していけると考えている人は黙っていることの悪影響が大きいんだ

主体性が高い人のが高い方が黙っていると疲れやすいんですか。
ちょっと意外です、どうしてですか?

主体性のある人は自分で人生を切り開いていくのがデフォだ。
「は?問題意識があるのになにもしないの?いいからやれよ」と考えるタイプだから、このアグレッシブな基本方針と黙っているという受け身な行動のミスマッチにより、自分の意見を言わない事や行動しない事にめちゃめちゃ疲れる
問題に対して打って出るタイプだな

逆に、受け身な人は問題が起きても「どうせ自分にはどうしようもない」と考えて黙っているのがデフォということですね。
自分の意見を言わないのが基本方針だから、問題やトラブルが起きても平常通り。黙っていることにそこまで疲れないということですね

そうだ。このメカニズムの結果、発言して行動するのはいつもアグレッシブな人になる。そして受け身な人は毎度黙っている。
この安定した不平等さをずるいと感じてしまうんだ

まとめ
アグレッシブなタイプばかりに負担がかかってしまいがち

自分で人生を切り開くタイプは意見を言わない人にイライラしやすい

しかも考え方の違いにより、内部統制の高い人は自分の意見を言わない人にイライラしやすい事はたやすく想像できる。
受け身な人は、悪い言い方をすれば解決のための行動を起こさないくせに、誰かが行動を起こすとぶらさがってくる人だ。
それを見てずるいと思う気持ちは当然だし、よくわかる。私も完全に内部統制が高いタイプの人間だからな。
ほんと、よくイライラしている。あいつらときたらやはり今度…

お、落ち着いてください…、ともかく理屈はわかりました!
主体性のある人は自分の意見を言わない人にイライラしてずるいなと感じるんですね!しかもその気持ちを飲み込んで我慢することにもストレスを感じやすいタイプだと
すごいなー、勉強になりました。さすがですね!ヒュ〜!

…うむ。うまくまとめてくれたな。
だが私は自分で切り開いていくこのスタイルが気に入っているし、メリットの方が多いと思っている。
じゃあ今度は内部統制の違いをうまく乗りこなす対処方法について解説しよう

(こんな風に感情的にならないように、対処法は繰り返し復習しよう)

まとめ
アグレッシブなタイプと受け身なタイプは考え方の違いでモメやすいぞ!

黙っている人をずるいと感じた時の対処法

他人にぶら下がるようなずるさには必ずデメリットがある

まず、相手をずるいと感じるのは相手がトクばかりしているように感じるからだ。
だがこれは正しくない。世の中そんなに甘くないんだ。
だから意見を言わないことによる相手のデメリットを理解すると自分の気持ちを落ち着かせることができる

たとえば他人に任せきりでずるいと思われたら周りから信用されなくなる助けてもらえなくなるだろう。
これを再認識するとずるいとは感じず、「うまくねえなぁ、損してるなコイツ」と感じるようになる

さらに、反対意見でも正直に意見を言う人の方が信頼される状況もある。
この駆け引き上手さは受け身の人が持ちえないメリットになるな。
「見どころのあるヤツ」と思われる反対意見の言い方は下記の過去記事を参照してほしい

解決するための労力や批判されるリスクを取らないんだから損するのも当然ですね。
主体性を持つことの方がメリットが大きいから、自分は発言もする。
ずるい相手には損して得取れというわけですね

ああ。だが相手がもう少し小賢しくて先を読むタイプなら要注意だ。
うまい事を言って自分は動かず、なんでもやらせようとするフリーライダーもいるからな。

そういうフリーライダーに対してはみんなに注意勧告をしておくのも効果的だ。
その人の評判が周知されるとともう他力本願は通用しないから何よりの対策になる。
他にも、こういうずるい人にはギブアンドテイクの心理学的戦略テイカー対策がそのまま使えるだろう。参考にしてみてくれ

まとめ
相手のデメリットを理解して、自分にトクな方を選び続ける

相手とスタイルの違いがあることを理解する

それでも自分の意見を言わない人をずるいと感じたら、内部統制の違いだと思い出そう
自分はおそらく内部統制が高い、打って出るタイプ
相手はおそらく内部統制の低い、他人次第と考えるタイプ

私は打って出るタイプだから内部統制の高さをひたすらベタ褒めしたいところだが、内部統制が低い=悪いというわけでもないんだ

どうしてですか?
自分で道を切り開いていく人の方が解決性があって良いように思いますが

そうだね。
打って出るタイプは問題に対して主体的に取り組む。
一方他者次第と考えるタイプはどうしても受け身な姿勢になりがちだ
この姿勢が極端になると「ずるい」「ぶらさがってるだけ」と思われるし、問題解決能力も伸びない

だが、受け身なタイプはうまくいった時に「みんなが頑張ってくれたから」と周りに華を持たせる事にも抵抗感がないんだ。
良くも悪くも他人ごとというわけだな

内部統制が低い人は、成功に自分以外の要素が絡んでいることを見極められるんですね。
逆に、主体性が強すぎると「今回うまくいったのは自分が頑張ったからだ!」と言ってしまうかもしれません。こうなるとすこし独善的に感じます

良い考えだね。だから攻めと守りのバランスを取ることが重要なんだ。

受け身なスタンスにもメリットがあったり、アグレッシブな人にもかみ合わせが悪い場面があったりする。このことを理解し、状況に合わせて使い分けるのが最強だ。
たとえば主体的な人は「我が強いタイプ」とも言えるから自己アピールがあまりうまくなかったりする。そこで上手な自慢の作法のような科学的に正しいアピール方法を理解する事はプラスになると思うぞ

相手をずるいと感じるのは受け身な姿勢と状況がかみ合ってないだけ、とも言えるんですね。
理解できると少しだけ気持ちが落ち着いた気がします!

まとめ
自分にも苦手な場面があり、相手の行動にもメリットがあるということを理解する

自分の意見を言い、解決していける人の方がメリットが大きい

最後に、意見を言わない人をずるいと感じる人に言っておきたい。
私の考えになるが、やはりはっきり意見を述べ、解決していく人の方が長い目で見るとメリットが大きいと思う

色んなことに首を突っ込んで、レベル上げをした方が後半ラクだっていつも言ってますもんね

そうだ。時に失敗したとしても、痛い目を見たとしても、余計なことをしたと後悔しても、主体性があった方がレベルが上がりやすいイージーモードだと思う。
逃げると人生後半で詰むぞ!とよく言っているのはこの理由からだな

そう考えると、自分の意見を言わない人はずるいのではなく、ラクさの前借りをしているだけなんですね

そうだね。もし50歳になってもレベル1だったらゲームとして詰んでるだろ?
だから、

・問題が起きても困らないように、知識をつけておく。
・状況が変わっても対応できるように、変化に強くしておく。
・いざという時対応できるように、好き嫌いせず経験をしておく。

これらは自分で問題を解決するぞ!という主体性がないと身につかないものだ。
若いうちは困っても周りが助けてくれるだろうが、ある程度年齢いったら周りの態度も厳しくなってくる
こういった大局観を持つと受け身でいることのマズさがわかるはずだ

年齢がいくと詰み始めるのは私も見たことがあります。
先日も自分より2回り以上若い人に説教をかまされているのを目撃しました

ああ。自業自得とはいえ、若い人に説教されるのは人生辛そうだよな。

ともかく、主体性を持って取り組んでいれば能力がつくだけではなく、仲間も増える。
意見を言う練習をしていけば影響力は徐々についてくるからね。
そのカリスマ性みたいなものは、やはり受け身な人は持ちえないものになる

おお、いいですね!
そのために役立つ知識やアドバイスは何かありませんか?

影響力の武器はまず読んでおいた方がいい。影響力を発揮し、人を動かすことについて科学的知見に基づいて書いてある。
それから、手前味噌になるが私もカリスマの心理学という本を出している。研究・論文を元に科学的にカリスマ性を身に着ける方法について書いている。

残念だが正論だけでは話を聞いてもらえないんだ。だから本能に訴えかけるようなポイントを抑えておかないと、発言してもスベることになる。
よって人を動かすポイントを抑えておく事が重要なんだ

もう受け身な人に構っているヒマはありませんね!
よーし、やっぱり私はアグレッシブにいくぞ!

まとめ
せっかくのアグレッシブな才能は知識で生かしていこう!

引用・参考文献

1)Ozer, Muammer, Tingting Chen, and Jacky W. Tang. “Detrimental Effects of Remaining Silent about Operational Concerns at Work: Implications for employee outcomes.” Organization Studies 45.11 (2024): 1611-1643.

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