この記事まとめ
・初対面では非言語的な「振る舞い」によって第一印象を形成されてしまいます。研究によるとアイコンタクトが多く/長く・微笑み・頷きが多いという非言語的な行動の多さが第一印象の良さと影響していました。またたくさん、長く、大きい声で喋ると様々な能力が高いとみなされます。
私もあなたも、出会ってから数秒で初対面の印象を決めています。
スタートでつまずくとその後の人間関係に大きな影響を与えてしまいます。しかしその逆も然りで、最初に好印象を与える事ができれば、磁石のように人を惹きつける事ができるはずです。
では、どうすれば相手の印象を良くすることができるのでしょうか?その方法をいつものように心理学のエビデンスから好印象を与える心理テクニックを紹介していきましょう!
初対面の印象は非言語的行動(ふるまい)次第
2016年のSkanda Muralidharらの研究では、「サービス業って第一印象でジャッジされやすいから、いい教育法ないかね?」といった目的のため面接などでの第一印象の行動分析をしてくれています。1)つまり第一印象がいい人の特徴を調べてくれたわけですね。詳細は以下のとおり。
- 先行研究ではアイコンタクトが多く/長く・微笑み・頷きが多く、非言語的な行動の多さは評価にプラスの大きな影響があった。また、声に抑揚があり、表情豊かな応募者は採用される確率が高かった。逆に、力のない話し方は印象にマイナス。
- 今回の分析でも発言回数が多く、長く、大きい声で喋っていた人ほど、全体的な印象が良かった。また、ジェスチャーを使って元気に喋る人は好意的にみられた
- 頭の動きが多い人(頷きなど)もスコアが高かった
というわけで、先行研究と同様に、非言語的な振る舞いが初対面の評価で大きな影響を与えているっぽいですね。
好印象の秘訣は喋る内容より「何をするか」
好印象を与える人たちの共通点をまとめると以下のようになります。
アイコンタクトを多くとり、微笑みながら頷く。元気に喋る。
この非言語的なサインが好印象の要素となります。非言語的なサインの重要性については一人でできる!人前で堂々と話せる人になる練習方法という過去記事でも「鏡を使って練習しないと喋りはうまくならないよ!」という事を書きました。よどみなく喋る事も大事なのですが、それ以上に人は見た目で判断しているということですね。確かに自信がある人や魅力的な人というのは話している間アイコンタクトをしたり、頷いたり堂々と喋っていますしね。
この高評価のサインをたくさん出すと好印象を与えられますから、内向的な人でも鏡を使って練習をしておくと良いでしょう。
逆に、ジェスチャー不足だと印象が悪くなる
逆を言えば、第一印象で怖い・考えている事がわからないなどのネガティブな印象を持たれるのはこれらの好印象のサインが不足している事が考えられます。
確かに、「ちょっとこわいんだよな‥」と思う上司とかをイメージすると、ろくに目も合わせないし、「ああ、そう」と聞いているんだか聞いていないんだかわからない声で返答をされることがあります。報告しても書類に目を通したままで、微笑みや頷きなんてないし。
これを第一印象でやらないようにするだけでも印象がフラットに戻せるよ!ってことですね。
好印象を与える心理学は面接でも使える
この研究は第一印象をジャッジするのに面接を使った研究ですから、当然面接に応用可能です。先ほどの高評価サインを出しまくりましょう。この逆だと最悪です。
「‥あ、あの、私はその、リーダシップがあって、コミュニケーションにその、頼りがいがあってぇ、いや、バイトリーダーを、ハイ、えっと成績も頑張って‥」
となったら「嘘つけ!!」ってなりますもんね。それよりはむしろ
「確かに私は皆さんほど素晴らしい経歴はありません。ですがみんなに支えられながらですがラクロスを4年間やり切りました!根性あります!!ウィッス!!」
みたいに目を見ながらデカい声でゴリ押しされたら印象良いのは頷けます。かなりパワー系っぽいですが、採用したくなる気持ちはわかります。なんか面白そうだし。第一印象が良いと面接で質問が少ないのはむしろ良いサインという研究もありますし、より受け答えがラクになるという好循環も期待できます。
好印象を持たれる人のメリット
好印象を持たれる事は想像以上のメリットがあります。ここで好印象を持たれる人だけが持つメリットを整理してみましょう。
初対面で好印象を持たれると大目に見てもらいやすい
人間の脳は最初の印象を覆す事を面倒くさがります。つまり好印象を持たれさえすれば多少失敗したとしても「まあたまにはあるよ。攻めた結果でしょ。OKOK」とミスも大目に見てもらえます。
逆だと最悪です。「アイツ、またやったか!いつもいつも問題ばかり起こして!」と一回目なのにお叱りを受ける事も珍しくありません。理不尽なようですがこれが人間であり現実です。
ですから、たとえば職場で初対面から素を出して「正直働きたくないしあまり人も好きじゃないんで」とか「ここにいるより早く帰って家でyoutube見たい」とかすべて正直に言う必要はないと心得てください。むしろ初対面くらい好印象を演じる方が社会ではうまくやっていけます。そこで本音を出して「早く帰りたい」とぶちかますのは正直者ではなく、社会性が無いという状態に近いです。
それに、仮にあなたが本音をさらけ出して話したとしても、相手は初対面では猫をかぶってきます。
初対面は相手にネガティブな印象を持たれないようにしましょう。そして関係ができてから少しずつ本当の自分を見せていきましょう。人間関係とはそういうものです。最初にネガティブな印象を持たれると勝手にレッテルを貼られて終わりですから、最初数回くらいは好印象から始めた方がいいです。
地位が良くなりやすい
つまり組織の中でステータスを得やすいということですね。リーダー格になったり出世しやすいということです。
今回の研究でも非言語的なサインにより評価が高く採用されやすかったという結果が出ています。さらにこれらのサインを出す人はコミュ力にも直結しますから人脈も広がりやすく、結果として「あの人は有能だ」と思われやすいです。能力が評価されやすい土壌が整うわけですね。
好印象を与える人は目の前の人からも評価されますが、そもそも初対面で好印象を与えて仲間を作ってくるという能力自体がチートスキルなわけです。現にコミュ力というのはやはり社会的地位と関係があり、出世や社会的地位を予測する要素の一つと考えられています。詳しくは出世の科学の記事を参照していただければ。
好印象を与える心理テクニックと練習方法まとめ
最後にまとめです。気をつけるポイントは
- 目を見て話せ!
- 笑顔で話せ!
- 大きい声で抑揚つけて話せ!緊張してもボソボソ喋るな!
- ちゃんと頷いて聞け!
といったところでしょうか。皆さんどうしても何を喋るかという事だけに焦点を当てがちです。初対面の好印象を良くしたいと思う人ほとんどがそうでしょう。しかし前述のように非言語の持つ説得力は強力です。まず非言語をケアし、そして喋る内容の対策をするのが賢い戦略です。
まず最初にやるべきは「目を見て表情豊かに笑顔で。あとボソボソ喋るな。話は頷きながら聞け」ということです。評価されやすい人の声やスピーチが上手い人の特徴的な話し方については以前記事にしたのでもし必要ならそちらも参考にしてみてください。
さらに、これらを実際に身に着けていくには人前で堂々と話せる人になる練習方法を参考に鏡を使って練習をしてみてください。効率の良さが段違いです。これらの振る舞いが身につけば怖い・何考えてるかわからないなんて誤解されることはぐっと減りますし、むしろ好印象を持たれることがほとんどだと思います。
最後に、対人コミュニケーションというのは空中戦です。非言語のサインは上記の方法で十分ですが、発言回数を増やしたり長くする事も対策をしておきましょう。
その対策として気の利いた言い回しをいくつも持っておくことで発言回数は増え、長く、自信を持って大きい声で喋れるようになるでしょう。その対策としてコミュ障克服のためのおすすめ本として書評を紹介しているので、そちらも参考にしてください。言い回しなんて借りれくればいいんですから。
引用・参考文献
1)Muralidhar, Skanda, et al. “Training on the job: Behavioral analysis of job interviews in hospitality.” Proceedings of the 18th acm international conference on multimodal interaction. 2016.