後悔しない選択をするための決断法!論理と直感の科学

考え込む女性 心理学

人間の判断もコーヒーと一緒でブレンド具合が大事なのね!

自分が納得できる選択をしよう!にちょっと待った

 よく言われるように、迷った時に「どんな結果になろうと自分が納得できればいい」というのは意味正解です。

 ですが、もう少し落ち着いて考えてみましょう。自分が納得できて、かつ良い結果が出やすい選択」が一番いいのではないでしょうか?

 もちろん「納得できればいい」と突き進むのも人生。そして、感情だけではなく理性的な判断力も追加することで後悔しない選択ができる可能性は高まります。

 では理性的な判断だけでもいいのではないか?と思うかもしれません。理性的、論理的というとスマートで良いイメージがあるかもしれませんが、感情や本能を織り込まない判断も賢くありません。本を読めばそれだけでお利口さんな判断ができるわけではありませんよね。

 同様の理由で、経験豊富な大センパイがトボけた判断をしているところをみると、感情や経験則だけに頼るのも困りものなのは明白です。

 では、後悔しない選択肢を選べるようになるためにはどうすればいいのでしょうか?いつものように論文から一緒に学んでいきましょう。

後悔しない選択をするには論理と直感は2:1で混ぜろ!

頭が固いわけでもなく、無知でもないバランス

 やや固い書き方になるので苦手な方はこの項を読み飛ばしても構いません。後ほど解説します。

 2018年Fujisakiらの判断・集合知・多様性の論文によると、判断に多様な戦略を確保したときに判断が向上した。ヒューリスティック(直感)による判断する人と知識ベースで判断する人が2/6の時に、最も正答率が高くなったというのです。1)

 この時直感派の人はFamiliarity heuristicで判断しています。

 Familiarity heuristicとは、簡単に言うと「うん、これが正解だと思う!なんか見たことあるし!」という職場上司に意見を求められた時に言ったら怒られそうなフワッとした理由で選ぶことです。しかしこれが結構いけてしまったわけですね。ですが、あまり難しい問題だとさすがに知識ベースで具体的に考えた方が良い結果が出ています。

論理だけでも直感だけでも判断する「材料」が足りない

 この理由について考察すると、論理も直感も判断に役立つ素晴らしい特色があるのですが、逆を言えばどちらも不足しているものもあります。

 例えば、論理であれば感情抜きで客観的な情報をもとに決断します。論文や事実ベースで考察する事は正確性が高く、大暴投しにくいです。一方で、科学か確認できる事実というのはあくまで現象の一部を切り抜いたにすぎません。一部は正確だけれど、他の要素を無視しているとも言えます。

 直感は全てを説明できるわけではないけれど、本質のようなものを感じ取る事ができる事ができるという特性もある事を忘れてはいけません。マルコム・グラッドウェルが「第1感~「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい~」で取り扱っている適応性無意識というやつですね。

 それに対して直感は大暴投をしてしまう「考え違い」をしてしまうことがあります。しかし、無意識で多くの情報を処理した結果ですから速く・それなりの判断をすることができるでしょう。経験則も正しい方法で学習しないと後付けの説明がうまくなるだけで、予測能力を高める事はできません。

ブレンドする事で選択するための材料が補われる

 まとめますと、論理も直感も「何か捨てているものがある」のです。この二つを状況に応じて組み合わせて判断することが大事です。

 後悔しない決断をするために、めやすとしてこの論理2/3直感1/3という配合率をブレンドして判断してみるのは一つの回答になるでしょう。そして重要なのが、なるべく多く意見を集める事。集合知や多様性というものは正しい決断をする時にやはり強いです。

実例を通して意思決定の方法を学ぼう

直感と論理、どっちか極端になりがちだもんね

 最後に、例を挙げて実際の選択方法についておさらいしましょう。

論理→直感の順番で判断していく

 考える時のポイントは割合の大きい論理を先に持ってくることです。心理学では「アンカー」と言うのですが、まず論理的にざっくりと見当をつけるということです。

 たとえば、収入を増やす為に転職するかどうかを悩んでいるとしましょう。

 まず、論理で物事を考えます

「今は年収500万で、業界の平均を見ると勤め上げれば600万くらいいけるかな」

そして直感でも物事を考えてみます

「なんとなくウチの会社は未来がない気がするんだよなぁ」

直感ですから理由はフワッとしていても構いません。

 そしてこれを論理2/3、感情1/3で組み合わせてみましょう

「雰囲気的に、勤め上げてもここじゃ600万も行かない気がする。じゃあ、せいぜい550~580万くらいかな。それで自分は本当に満足できるだろうか?それなら若い方が選択肢も多いし、もっと収入を増やす為には今動いて良い場所を探した方がいいかも」

 これが感情と論理を組み合わせた回答になります。これが正しいか確証はありませんが、先ほども述べたように直感が「言語化できていないような多角的な、多くの情報を織り込んでいる」とすれば、論理の弱点補強にはなります。多くの情報や視点、経験を織り込むという点から直感の力を借りる必要があるのです。

合理的な選択のためには、論理と直感両方に投票権をあげよう

 これだけでかなりバランスの取れた合理的判断に近づきます。直感だけや論理だけで行動すると損をするような状況もありますから、多くの場合はやはり理性と本能、両方に投票権をあげた方がいいしょう

 実は専門家の主観的予想さえあまり当てにならず、本当に先を読める人は主観+客観で判断しています。しかし経験則は楽ですから、私たちは油断するとただの経験則だけで判断しがちです。

 ですから人間が判断をする時は、油断するとどちらか一方(特に直感)が完全に投票権を握りやすいという事を覚えておく必要があります。そして判断しなければならない時は今回のことを思い出して、投票権の分配方法として、論理2直感1をイメージしてみるというのは目安になるかもしれません。

判断するときに情報を増やすと正確になるって事!視点を増やすには問題解決能力には多様性という記事も参考にしてね。

引用・参考文献
1)Fujisaki, Itsuki, Hidehito Honda, and Kazuhiro Ueda. “Diversity of inference strategies can enhance the ‘wisdom-of-crowds’ effect.” Palgrave Communications 4.1 (2018): 1-9.

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