なぜ初心者こそリカバリーにプロテインを摂った方がいい?

筋トレをする男性 運動の科学

ジム通いを始めた頃こそちゃんとプロテインを摂らないとね

 引き締まった体ってかっこいいですよね。ジム通いを始めてすぐそんなスタイルになればいいのですが、残念ながら現実は違うようです。

 とりあえずトレーニングを始めてみたものの三日坊主になってしまう人も多く、いいスタイルをゲットするのは簡単ではありません。

 まず、どれくらいで結果が出始めるのか?そしてプロテイン摂取の戦略科学的根拠と一緒に確認していきましょう!

いい体になるにはジム通いから一ヵ月半以上かかる

 2017年Felipe Damasらの論文でも、「筋肥大が実際に起こるには6~10週くらいかかる」と述べられています。1)

 初心者はまず一月半くらいトレーニングを継続しないと素敵なボディはゲットできないわけですね。ですが、これが皆さんなかなか継続できない。

 1〜2回のジム通いで「さっそく筋肉がついたな」と思う方もいるかもしれません。これは多くの場合「腫れ」であり、真の筋肥大ではない事がわかっています。1)2) 当然ながら筋が修復されて腫れが治れば、サイズはほとんど戻ってしまうわけです。

 短期的なトレーニングでの「逞しくなったな」というのは多くの場合筋肉が腫れているだけですから、ここを理解しておかないと休むとすぐ筋肉が落ちたように感じて嫌になってやめてしまったり、オーバーワークになったりします。

 さらに初心者が継続できないの要因として、うまくリカバリーができないという事が挙げられます。トレーニングにはもちろん休息が必要なのですが、加えて栄養の摂取が十分ではないため思うようにリカバリーする事ができず、成果が出る前にやめてしまうのです。

 栄養の補給を軽視してはいけません、材料がなければ家を建てる事も修復する事もできないのと同じです。せっかくあなたがかっこよくなるために筋トレを決意したのに、ここで躓くのはあまりにもったいない

初心者こそプロテインでリカバリーせよ!

まだレベルが低くて弱い時にはダメージも大きいのね

 プロテインというと、ゴリゴリのマッチョが飲んでいるイメージがあると思います。まるで人がゴリラになるためのクラスチェンジアイテムだと思っている人もいるようですので、まずその概念をちょっぴり変えて頂こうかと思います。

 実は筋トレ初心者ほど筋線維のたんぱく質合成(MPS;myofibrillar protein synthesis)は活発であり、むしろ筋トレを続けるほどその合成率は漸減していきます。1)2)簡単に言えば、筋トレ初心者の方が筋肉をガンガン作りまくるのです。つまり初期にこそプロテインを摂取する事が必要な可能性があるのですね。

 「ちょ、ちょっと待ってくれ。オレは何回か筋トレをしたけど、そんなにムキムキにならなかったぞ。それにさっき最初は腫れるだけで筋肉がつくのに6週はかかるって言ったじゃん」

 そんな声もあるかもしれません。

初心者は筋のリモデリングのためにたんぱく質合成が高い

 まさしくおっしゃる通りで、確かに筋のたんぱく質合成はビギナーに良く起こるのですが、一方で筋トレ初心者はトレーニングによる筋ダメージがめちゃめちゃ大きいのです。

 つまり筋が合成されても元に戻すまでで手一杯で、貯金(筋肥大)へ回す余裕がありません。そして、筋トレに慣れるに従って段々ダメージが少なくなり、ようやく貯金ができるようになるわけです。

 このことに関して2017年Chris Mcgloryらのレビュー論文でも、

  • 早い段階のMPS合成率が高いのは、筋肥大にそのまま行くというよりリモデリング(再構成)の為かもしれない2)

 といった旨が述べられているんですね。トレーニング初期にたんぱく質の合成が高まるのはリカバリーに需要があるからではないかと。

 初心者はダメージが大きい分リモデリングに要求されるたんぱく質量が多いですから、まだ筋肥大が起きない駆け出しトレーニーだろうがやはりたんぱく質は重要です。

 つまり、トレーニング初期こそプロテインを補給してあげることこそが、まだ慣れない駆け出しトレーニーからカッコイイスタイルの中級者への広い門であると考えられます。

 最初こそプロテインをガンガン摂る。少し脱初心者への勝利の方程式が見えてきましたね。

プロテインは一度に20g、タイミングは3時間おきが目安

ものごとには適量があるから摂りすぎには注意してね!

 では、どれくらいの量とタイミングが良いのでしょうか?

 プロテインだって庭から湧いてくるわけではありませんし、当然ながらコストがかかるわけです。あなたが石油王ならいいのですが、たいていの人は「カッコいい体になりたいけど、できれば安くあげてなぁ。コスパよくなんねぇかなぁ」なんて都合のいい事を考えるわけです。

 それに関して2017年Chris Mcgloryらの研究では、

  • 20gの高品質のプロテインを摂取する事で4時間の筋合成は最大化された
  • 20g3時間おきのグループと、10gを1.5時間おき、40gを6時間おきに飲んだグループでは、12時間後の筋合成は、20g/3時間グループで最大化された2)

という結果が出ています。つまり、

1,プロテインは一度に20g程度
2,プロテイン摂取は3時間おき(≒食間くらいにプロテイン摂取)

 くらいが現在考えられる最適解として立ち上がってくるわけです。3時間おきという事は、回復するまでおやつ代わりにプロテインというのが目安としてちょうどいいかもしれません。

 一方で、無作為化二重盲検クロスオーバー試験という 舌を噛みそうな 2016年Macnaughtonらの研究では、

  • 全身的な筋トレを行った健康な男性グループでは20gと40gで比較すると40gグループが16%多い筋合成が見られた3)

 という研究結果もありますので、若さや全身的なトレーニングを考慮した場合、20gよりたんぱく質量を増やした方がいいという可能性は否定できません。これは修復すべき筋量が多い事が関係しているかもしれません。お金に余裕があれば20gより多くするというのも一つの手かもしれません。

 加えて、フルーツ摂取もリカバリーに役立つという研究もありますから、プロテインだけではなくバランスよく栄養を摂取していきましょう。

今のところは目安として「一回20g」「おやつにプロテイン」でやってみるのがいいかもね

引用・参考文献

1)Damas, Felipe, Cleiton A. Libardi, and Carlos Ugrinowitsch. “The development of skeletal muscle hypertrophy through resistance training: the role of muscle damage and muscle protein synthesis.” European journal of applied physiology 118.3 (2018): 485-500.
2)McGlory, Chris, Michaela C. Devries, and Stuart M. Phillips. “Skeletal muscle and resistance exercise training; the role of protein synthesis in recovery and remodeling.” Journal of applied physiology 122.3 (2017): 541-548.
3)Macnaughton, Lindsay S., et al. “The response of muscle protein synthesis following whole‐body resistance exercise is greater following 40 g than 20 g of ingested whey protein.” Physiological reports 4.15 (2016).

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