仕事が楽しいわけがないと感じる理由と心理学的解決方法

かなりしんどそうだね…。
たしかに仕事は楽しくない事も多いよね。特に仕事のなにがつらいの？

全部か…！
でもその気持ちはわかるよ。私も期限切れの仕事を理不尽に押し付けられた挙句、怒られるなんてフルコースを経験したことがあるしね。
じゃあ今回はなぜ仕事は楽しくないのか、状況をマシにするにはどうすればいいか心理学とエビデンスから解説してみよう！

まず、会社員というのは会社の方針や上司の指示に従う必要がある。
これがバシッと自分の好みや価値観に適合する人ならいいが、たいていは違う。
面倒なことや、やりたくないことも指示される、それが仕事だ

たまたまもあるが、仕事選びの際に会社理念を調べたり企業研究をしておく事で仕事が楽しい環境になる可能性を高められるな（タテマエだけのところも多いが）。

How Google Worksによると、スマートクリエイティブと呼ばれる人たちは会社の文化を重要視する。実力を発揮するにはどんな環境で働くかが重要だとわかっているからだ。¹⁾
だが会社で働く以上、組織のルールがあり権限が限られている。
だからやる事も縛られる。自分の方針と合わなければ楽しくないのはもっともだ

それが資本主義であり、プロってことなんだがな。

ただ、仕事に楽しさを感じない人にもハイパフォーマンスを出す人もいる。
仕事が楽しくないということは、悪いことばかりではないんだ。この事を次の項で解説するぞ

経営者からすればそうだな。
やりがいを感じて薄給でも懸命に働いてくれれば理想だろう。
お客さんだって、どうせなら仕事が好きな人に接客してほしいと思うはずだ。
だが、仕事だからと割り切って働く人の方が有利なこともある

そうだね。感情はガソリンであり、進む力を与えてくれるが時に危険なものだ。

たとえば、お客さんに喜んでもらうことだけがやりがいだとしよう。
もしそんな人が、お客さんから不当な言いがかりをつけられて怒られたらどう感じるだろう？
さらに、お客さんのことだけを真剣に考えている人が、他のやる気がない社員に対してはどう思うだろう？

そうだね。
そして仕事が楽しくない人は割り切っているからネガティブからの悪影響が少ない。
相手が喜んでくれればもちろん嬉しいが、理不尽に怒られてもそういう事もある、と自分のやるべきことに集中できるんだ。
トラブルがあっても切り替えやすいし、やる気がない社員がいることも理解した上で運営の仕組みを考えることもできる

自分の気持ちは関係なく、お金をもらっているからプロとして役割を果たそうと考える仕事人タイプもいる。
決して責任感がないわけじゃなく、むしろプロ意識は高く役割を全うする。
仕事が好きなタイプだと、ネガティブな事や嫌いな分野ではムラがある人もいるからな

それだけじゃない。
仕事が楽しくない人だからこそ賢い判断ができることもある。
ポジティブな感情も時には判断ミスを生むこともあるんだ

頭の良い人でも、感情によって判断を誤ることがあるんだ。

たとえば、自分が熱を入れて開発した試作品ができたとする。今までのキャリアで積み重ねた知識と経験を総動員したもので、出来栄えも非常に満足だ。試作品はすごく革新的で自信があった。
しかし、テストマーケティングではそれが全然見向きもされず、満足度も低かった。
この場合どうするのがいいだろう？

合理的な判断だね。
だが、自分の担当領域に情熱や熱意を持っていた場合、判断がゆがむことがある。
「いや、絶対売れます！その理由は〜〜」
「プレゼンした人が悪かっただけで、絶対売れます！」
と、事実を無視して自分の信念ありきの決断を下してしまうことがあるんだ。

その点、仕事に対して冷静な人はこだわりがないため、事実をありのままに見ることができる。客観的で、ある意味他人ごとだな。
だから今回の件も自分の過去の経験は置いといて、「マーケットのニーズに合わせて変えた方がよくね？」という判断を容易に下せる。つまり非常に柔軟性がある

もちろん、めっちゃ情熱があって柔軟性があるというSSRキャラもいる。最強だ。
だが、熱意だけを判断のよりどころにしてしまい、ひどい結果になってしまう人もいるんだ。熱心すぎるあまりバランスを失ってしまうんだな。
だから、少し冷めているけど役割は果たそうとするヤツの方が合理的な判断が得意なこともあると覚えておいてくれ

たくさんある。
とくに初期の記事は論文引用のときに「SMD 0.57 CI95% 0.12~1.08, p<0.05」といった読み手が求めていない情報まで書いていた気がする。
一般向けに書くのなら自分のスタイルはマニアックすぎたんだ。これも情熱が判断を誤らせた例だな

とはいえ、「仕事なんてつまんねえ！辞めたい！」と正直に言いまくる事は考えものだ。
というのも文句ばかり言う人の末路がかなりキツイ心理学的理由の記事でも書いたが、文句ばかり言っていると最終的にはネガティブなぼっちになる。
表面上だけは熱意があるように振る舞うことはライフハックとしてアリだ

そうだ。
「仕事がつまんない」ばかり言っていると、自分では何もできないネガティブなぼっちだと思われるリスクがある。
職場での心証が悪くなると、ミスをした時にも「やっぱりあいつはやると思った」と思われやすく仕事の難易度そのものがベリーハードモードになる

そうだね。
だから仕事がつまらない、苦痛だということは言いすぎない方がいい。
見せかけだけでも「この職場でみんな一緒に頑張るのも悪くないよね？」というスタンスでいた方がチームからも好かれやすい。
職場否定は間接的にチームメイトの批判にもなるから、なおさら注意した方がいいな

上司に対しても「なんだかんだでやる時はやるヤツ」という印象は持ってもらった方がいい。
「やめたいやめたい」ばかり言っている部下と、「しんどいけどやったりますわ」という部下なら、やはり後者の方がかわいいし、大事にしたくなるものだ

そういうことだ。
だから一見やる気のない社員がエースだったりすることは普通にある。
仕事はバシッとやった上で、本音では
「早く帰りたい、給料安くていいから家でゴロゴロしたい」
と普通に思ってたりする。そのためにヤツらは鬼のような効率性を身につけたりする

仕事がバリバリできるエース社員も、ただ仕事を早く片付けて帰りたいとか、トラブルは未然に防いだ方が楽できるとか、上司の気分を良くした方が楽できるといった実利的な動機の結果のこともある。
仕事ができる人は「職場で楽しくない雰囲気は出さない方がトクだ」ということを理解しているんだ。
本音とタテマエを使い分ける、まさにしごできだな

じゃあ、そもそも仕事は必ずしも楽しいものではないという前提を元に、少しでもマシにしていく方法を考えよう。

まず、みんなが楽しいと思うことはみんながやりたがるから、むしろお金を払うはずだ。私達もゲームセンターで遊ぼうとするとお金がかかるだろ？

実は仕事にそのゲームのシステムを取り入れることで、楽しみやすくモチベーションを上げることもできる。
これをゲーミフィケーション（ゲーム化）という

論破はおすすめしないが、システムとしてはその通りだ。
ポイント制にしてスコアをつけたり、目標達成で「おっ、レベルが上がったぞ！」などの達成感やモチベーションを得るものだ。
マリオやドラゴンクエストがおもしろいのはこのせいだな

さっきも言ったが、ポイント制にするとか目標を達成したらご褒美とかだな。
たとえば、
「この書類作成は普段20分かかるから、15分でできたら1ポイントゲット！」
「仕事中10ポイントゲットしたらコーヒーを飲んでいい」
とか自分で勝手にルールを作ってゲーム化してしまうんだ

2013年M Sailerらはゲーミフィケーションに関して、潜在的に動機付けメカニズムに働きかけやる気を促進すると述べている。²⁾
さらに2020年Vermeirらのゲーミフィケーションを取り入れた認知トレーニングのメタ分析では、モチベーションに中程度の影響があり、しかも子供から大人まで年齢は効果に関係なかったと報告されている³⁾

そうだね。
ただし、Vermeirらのメタ分析ではゲーム化による認知能力の向上は見られなかったんだ。
これに関しては「ちゃんとした設定・やり方ができてなかったからじゃね？」と述べられている。
ちゃんとしたやり方をしないと、ゲーミフィケーションでやる気は出ても効率が上がるわけじゃないってことだな

ゲーミフィケーションを学ぶならジェイン・マクゴニガルのスーパーベターになろう！──ゲームの科学で作る「強く勇敢な自分」が有名だろう。
SuperBetterのアプリもあるが英語のみだ、苦手ではないならいいかもしれないな

実はその感覚が大事なんだ。
2023年Fei Ran Yangらの研究では、職場で楽しさを感じる事と創造的な行動は正の相関があったんだ。つまり、楽しいと感じるとたくさんの視点から問題に取り組むようになり、パフォーマンスも上がるってわけよ⁴⁾

その意気だよ！つらいこともあるけど楽しんでいこう！