人見知りの人と仲良くなる科学的方法を徹底解説

若者の仲間たち 心理学

 人見知りの人って、いい人が圧倒的に多いです。

 いい人のせいで空気を読みすぎて自分から話せないことが多いのですが、仲良くなるとその「いい人さ」が発揮されるのでとても魅力的です。恥ずかしがり屋なところもかわいいですしね。

 ですが、確かに最初はガードが固いかもしれません。それは誠実さの現れなのですが、きっかけとして心の鍵を開けるような方法があれば心強いですよね。

今回は人見知りの人と仲良くなる方法を科学的根拠を元に解説していきましょう。

仲良くなりたいのは「自分について知りたいと思う人」という研究

 今回参考にするのは2024年Schroederらの論文で、「相手が自分の事をよく知ってくれていると満足する!1)といったタイトルになります。詳細は以下の通り。

  • 相手の事を知っているより、自分の事をよく知ってくれていると感じる方が関係の満足度が高かった
  • 交際するパートナーを探す時も、自分の事を知りたいと思う人に惹かれる傾向にあった。
  • その理由は、自分の事を良く知ってくれている相手は自分の事を助けてくれるという本能からかも?

 以上のような結果なのですが、まあ、なんというか‥すっげえ自分の事大好きじゃん、人間。って感じですね。相手の事を良く知りたい!より自分の事を知ってほしい!が満足度の第一ですからね。

 まあ事実は事実として、私たちはこの結果を参考にして人見知りの人とも仲良くなる方法に応用する事にしましょう。

人見知りでも誰でも、自分の事を理解してほしい本能がある

 人間は誰しも自分の事をわかってもらいたいという本があります。あまり自分から話しかけない人見知りの人にもこの傾向はもちろんあります。

 人間はずっと昔から社会的動物として生活し、群れで助け合って生きてきたわけです。ですから、群れの中で自分の存在を認識してほしいと思う本能がありますし、困ったときに相手が助けてくれるかというのは群れの関係性の中でかなり重要なことです。

 つまり、自分の事を良く知ってくれている人は「最近大丈夫?」「少し手伝おうか?」「これは苦手だったよね」と困ったときに助けてくれる可能性が高いのです。

 ですから、相手の事を知っておくことはもちろんギブアンドテイクの関係で重要なのですが、それ以上に自分の事について知ってもらう事が最重要事項なのは当然と言えるでしょう。

コールドリーディングを使えば一瞬でよき理解者になれる

 さらに論文の理論として、「主観的に相手は自分の事をわかってると感じられるかが重要で、別に客観的な知識としてわかってなくても良い1)くらいの事が書いてあります。‥まあ確かにそうなんでしょうが。

 ぶっちゃけた話、「相手の満足度やあなたに惹かれるかどうかだけなら、わかってる感だけあればいいよ」というわけです。

 確かに最初から相手の事をすべて理解することなんてありえません。初対面から「君の事は何でもわかるよ」なんて言われたら気持ち悪すぎます。現実的には、以前相手が話してくれた事を覚えていたり、考え方を理解してくれる人は仲良くなるきっかけになりやすい、くらいでしょうか。

 では、相手の考えている事・感じている事を理解してくれていると思わせるには?私の記事を読んでいる人はもうわかりましたよね。コールドリーディング※です。

コールドリーディング
占い師が良く使う心を読んだように見せかけるテクニック。実際に読めるわけではなく、推測する
体系立てられた手法であり、練習で誰でも習得できる。
この手法を使うと相手の心を読んだかのように先回りできるのですごく気の利く人になれる
詳しくは、イアンローランド著「コールド・リーディング」を参照。

 この手法を用いて、相手の喋っていない事まで理解して、察して行動してくれたらどうでしょう?

 たとえば、「話す前はおとなしいタイプかなと思ったけど、自分の考えを持っててしっかり者だよね。押し付けられそうになっても時には押し返したりしたことあるんじゃない?‥やっぱり?やりすぎたこともある?そうでしょ。でもいいじゃない。そういうしたたかな感じ、私は好きだけどな」

 と、相手の表面上隠していることや過去にやった事などを的中されると相手からすると良き理解者となり得ます。実際に心を読めているわけではないのですが、きっかけとしては有効でしょう。

人見知りの人と仲良くなるには少しずつ話をしてもらう

仲良くなっても深い話に行くまでのペースはゆっくりめね

 以上のような方法を使って人見知りの人と仲良くなったとしても、いきなりぶっちゃけトークをするのは待った方がいいかもしれません。

 あなたがよき理解者で信頼に足るという事は早い段階で理解してもらえるでしょう。ですが、それでも自分をさらけ出す事に慣れていない人見知りの人は、深い話まで到達するのにはどうしても時間がかかる傾向にあります。

人見知りの人は信頼している人に「少しずつ」深い話をする

 なぜなら、人見知りの人は「こんなことを話したらいやだと思われるかな」など気遣いをするからです。そのせいで、ぱっと見た感じはなかなか口下手に見える事があったり、自分の事を話そうとしないようにも見えるでしょう。

 ですが、いざ打ち解けてくると自分の話や悩みについても話してくれますし、むしろ最終的には人見知りではない人よりも深い話までしてくれます。なぜかというと、心のガードが固めな分、深い話ができるくらい信用できる人は数少ないからです。ベラベラ誰にでもところ構わず喋るのではなく、選ばれし者だけがその権利を得るわけですね。少数精鋭の分関係が深くなるのは当然とも言えます。

 実際、最初の心のカギを開いてしまえば、話す事そのものがきらいだという人は少ないです。私の経験になりますが、むしろ「自分のことを理解してほしい」という傾向が強く出る人が多い印象です。

 ですから、コールドリーディングをコミュニケーションに生かす時も信頼感はマスト。人間の直感は信頼できる人を「3つの要素」で判断しているなどの記事も参考にしてみてください。

仲良くなるのが上手い人は相手に話をさせる方法を心得ている

「でも、人見知りの人に話をしてもらうなんて難しそうだなぁ」

 そう考える人がいるかもしれません。ですが、誰しも自分の話したいことや性格をわかってくれている人には自ずと口数が増えるものです。人間好みはそれぞれですが、人には興味のある話題興味ないけど仕方なく話す話題があります。

 例えば、私たちは天気の話をフックとしてよく使いますが、みんな天気にそこまで興味があるわけではありません

「おっ。そうそう、今日晴れているという事象についてちょうど話したいと思っていたんだよ!さあ話そう!」

 なんて思ったことありますか?ありませんよね。

 これはただのアイスブレイクで話のフックにすぎません。人が話したい事はもっと限定的で、少しわるい言い方をすればマニアックな事です。聞き上手な人は空気感を理解した上でこの相手のとがった興味がある事について話をさせるのがとてもうまいです。

 たとえば、相手がコーヒー好きで勉強もしている事について話が出たとしたら、その事について聞けばいいのです。

「カフェってずいぶん値段違いますよね。⚪︎⚪︎だと800円ですけど、△△だと300円じゃないですか。あれってなんでですか?倍以上って、そんなに違うものなんですか?」

と話を振ったりします。すると、

「ああ、あれはね。豆の量がそもそも違うんだよ。⚪︎⚪︎と△△は倍近く違ったりするんだよね。回転率とか仕入れ規模の問題もあるんだけれど、まずはそこかな。他にも理由としては〜」

と自分が好きな事はいきいきと教えてくれたりします。ここでも先ほど紹介したコールドリーディングの方法を駆使して相手の考えや感情を予測することが有効です。相手の反応や立場を踏まえた上で、

「自分がこの人だったら何を話したいのだろう?」

ということを推測した上で話を振るのが、聞き上手な人は超人的にうまいのです。コールドリーディングの練習方法を取り入れたりしながら、相手に気持ちよく話をしてもらう方法を磨き上げていってください。

人見知りは真面目さ・かわいらしさと捉える

 最後に、人見知りという事を大げさに捉える必要は全くありません

 どうしても今は自己主張とか主体性とか陽キャとかに日が当たりがちですが、これらは全てただの特性の一つにすぎません。特性には何事も長所短所があり、これの方が優れている!というものではないのです。

 人見知りで初対面から仲良くなるまで時間がかかるということは、ひっくり返せば時間がかかっても確実な信頼関係を構築してく、堅実で信用できるタイプとも言えます。これもまた素晴らしい特性です。

 確かに誰とでもすぐ仲良くなってウェイする陽キャも素晴らしい特性でしょう。同様に、擦れていなくて真面目なんて、誠実でかわいいじゃないですか。愛嬌でしかありません。仲良くなるのが早くても、すぐ手のひらを返すようなタイプより好感を持つ人も多いでしょう。

 数多ある人間の特性の一つでしかないとわかれば、特別何か準備をしないと!という気持ちから、少し肩の力を抜いてもいいのだと思い出せるはずです。

 今回はそんな信頼できて愛嬌のある人と仲良くなるための心理学的な方法を紹介しました。ぜひ人見知りの人をうまくリードして、良い関係を構築してください。他の心理学の知識も役に立つかもしれませんので、過去記事も役立ててください。それではGood luck!

引用・参考文献

1)Schroeder, Juliana, and Ayelet Fishbach. “Feeling known predicts relationship satisfaction.” Journal of Experimental Social Psychology 111 (2024): 104559.

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