【結婚のリアル】結婚相手を顔で選んで後悔する科学的な理由

結婚式で見つめあう二人 恋愛心理学

顔で選んで後悔したという話をよく聞きます。

ですが、イケメン美人と結婚して幸せな人も同じくらい良く目にします。

つまりこういうことです。「人は結婚相手を顔で選んでもいいが、何かを見落とした場合後悔する」。

では結婚を後悔する人が見落とすものとは何なのか?どのように選べば幸せな結婚ができ、後悔しないパートナー選びはどうすればいいのか?いつものようにエビデンスを元に解説していきましょう!

結婚が上手くいくかは性格の影響が大きそう

今回参考にするのは2010年Malouffらの論文で、性格特性とパートナーとの関係満足度についてメタ分析(過去の研究のまとめのようなもので、エビデンスレベルが高い)をしてくれたものになります。1)詳細は以下の通り。

  • Five-Factor(Big Five)による性格特性分類では、神経症傾向の低さと、協調性・誠実性・外向性の高さがパートナーとの満足度に影響していた!
  • そのうち、最も満足度に対する効果量が大きかったのは神経症傾向の低さだった。過去の研究でも神経症傾向は夫婦の満足度に重要な因子だったりする
  • これらの特性は独立因子で、それぞれの効果量が足し合わされるっぽい
  • これは性別差や既婚・未婚などは関係なく、性格特性と関係満足度はみんなに共通するっぽい

というわけで、やはり性格によって結婚生活の満足度もある程度予測できそうですね。

性格特性Five-Factor(Big Five)について

ちなみに今回の性格特性の把握に使われたFive-FactorというのはBig Fiveとも呼ばれるもので、人の性格を以下の5つの要因から分類するものです。

  • 誠実性
  • 開放性
  • 協調性
  • 外向性
  • 神経症傾向

この5つの強弱により人間の性格を解釈しようというわけです。性格に関する研究ではまずBIG Fiveが使われる事が多いです。ネットに転がっているよくわからん心理テストや「あなたは◯◯タイプ」みたいなものよりずっと科学者に頼りにされている、と思っておいてください。

参考までに私の性格特性を紹介すると、開放性・誠実性はほぼマックス、他は普通あたりというやや尖ったパーソナリティをしております。ちなみにBIG Fiveのパラメーターは高けりゃいいってものではない点にご注意ください。

たとえば、私の性格をBIG Fiveから解説すると「好奇心旺盛で新しいものに抵抗がない。でも、ぶっ飛びすぎて何言ってるかわからない事がある。コツコツやることは得意で、苦手も克服してやり抜ける。一方で融通が効かない所がある」といった感じです。この説明からも誠実性や開放性も極端だとデメリットがある事がお分かりいただけるでしょう。

BIG Fiveを理解するとコミュニケーションがうまくなる

さらに蛇足になりますが、相手のBIG Fiveを推測できるようになるとコミュニケーションに生かしやすいため信頼してもらいやすくなります。

たとえば、先ほど述べたような私の性格を理解していれば「この人は新しいものが好きだな」「中途半端な事はキライだな」といった事が予測できるはずです。となれば、もし私を食事に誘いたいなら「新しいお店やちょっと変わった料理を出すところだと興味を持ちそうだな。それと、日時は早めにキッチリしていおきたいタイプだろうな」と私の思考パターンや空気感を容易に読む事も出来るわけです。

さらに相手の思考パターンを読むという意味で、コールドリーディング(占い師が好んで使う、相手の心を読んだかのようにみせかける話術。詳しくは人の心を読む能力はコールドリーディングで習得を参照)との相性も非常に良いです。

このBIG Fiveの性格特性について詳しく知りたい方は「パ-ソナリティを科学する: 特性5因子であなたがわかる」あたりがよく整理されていますので、自分の性格や他人の性格について科学的に深掘りしたい方は一読してみるとよろしいのではないでしょうか。

「友達になりたいような性格のヤツ」との結婚は満足度が高い

本題に戻りますが、今回の研究結果によると誠実性・協調性・外向性が高く、神経症傾向が低い人との関係は満足しやすいとあります。これをかみくだくと「マジメで、仲間思いで、社交的で、メンタル安定している人」との結婚は満足度が高いと言えるでしょう。

簡単に言えば友達になりたいと思うヤツです。

「しごできで、やるべきことはやるけど、率先してみんなとおふざけもする。しかもぼっちがいたら気にかけて話を振ってくれるし、忙しくてもイライラすることなく余裕もある」

少し完璧すぎる気もしますが、こんなヤツと一緒にいると楽しいし頼りになるので、仲間として関係満足度は高いわけです。何かイベントがあるたびに「おい!あいつも呼ぼうぜ!」と言われるような人気者になるでしょう。これはパートナーとの関係だとしても一緒だということですね。

顔だけで選ぶと後悔する理由はこれだ

一方で、付き合っていて人間関係の満足度が低くなりやすい性格特性のタイプもいます。これが顔だけで選ぶと後悔する理由です。

人間関係を維持しにくい性格特性がある

この論文でも、「自制心のないタイプ」と呼ばれている性格特性を持つ人は適応性の低い人生と関係があり、人間関係にダメージを与えやすいと書かれています。1)

その特性とは、BIG Fiveで「神経症傾向が高い+協調性が低い+誠実性が低い」、これら3つが揃ったものになります。特に神経症傾向が高いと人のせいにしたりこき下ろしたりするので、これが人間関係を壊してしまうわけですね。適応性が低い人生だと問題にも対応する能力が低く、トラブルも増える事は自明です。

注意点としては、仮に神経症傾向が高くとも誠実性や協調性が高い場合は礼儀正しさやコミュ力でなんとかできます。しかしそれに加えて誠実性や協調性まで低いと自分を制御できませんから、相手に不誠実でわがままに、感情のままに行動してしまう可能性が高くなります。自分に都合の悪い事が起きたらパニクった挙句、他人のせいにするような人ですね。これでは人間関係が壊れるのも道理です。

まとめると、「感情的に不安定で、他の人と足並みを揃えるのが苦手で、コツコツがんばれない」タイプの人だと人間関係でトラブルが起きたり関係満足度が低くなる傾向にあると言えます。

それは結婚でも同じで顔だけを見てこの性格を見落とすと関係満足度が低くなる、つまり後悔する事になります。

愛のままにわがままに、だけならよくあること

わがまま感情のままに行動が人間関係を壊すとは言っても、これは誰しも当てはまる事でもあります。

B’zのヒット曲に「愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけない」というものがあります。このタイトルのように、たいていの人には「わがまま(協調性が低い)」など何かしら関係満足度が低くなりやすい性格特性があるものです。それが人間ですからね。

ですが、この曲のように自己中心的でありながらも根底に相手との愛に対して誠実性はあり、傷つけないだけの神経症傾向の低さがあれば愛のままにワガママでもOK、なんだったら全てが完ぺきではない事による人間らしさや葛藤に共感!エモい!となるのです。

もしこれが「オレは好き勝手ワガママに生きるんだ文句あるか、3歩下がってついてこい」的な歌詞だと自制心のないタイプになりますから、ただのモテない男の歌詞になるため売れないでしょう。

逆を言えば、私たちは何かしらマイナスがあっても他の性格特性で関係満足度を補えるし、事実補っているのです。今回の研究でも「性格特性の効果量は足し合わされるようだ」とありますから、たとえば多少神経質でも空気を読んだり誠実であるなどの良い点を生かしていけばトラブルは起きにくく、関係満足度を高めることができるでしょう。

行動を改善すれば結婚の満足度は改善できるかも

以上のように、相手の事を顔だけで判断し後から自制心のないタイプであることが判明した場合、やはり結婚を後悔しやすいです。なぜなら人間関係を壊すような行動を繰り返し始めるからです。

ただし神経症傾向が高くともアウトというわけではなく人間関係を壊してしまう行動を改善していくことで関係は改善するかも?ともこの論文では述べられています。

行動・関係改善のためには、アルバートエリス博士の論理療法のエッセンスが入った幸せなカップルになるために: エリス博士の7つのルールあたりが役立つのではないでしょうか。パートナーと一緒に取り組んでみると良いでしょう。

幸せになれる結婚相手と出会うために知っておくべき事

顔で選んだから後悔するわけではない

今回の研究を元に考察すると、やはり顔で選ぶから後悔するのではありません長期的に人間関係を維持しにくい性格特性の相手を選んでしまったために関係への満足度が下がり、後悔しやすいのです。

さらに顔と性格というテーマに関しては、以前に顔か性格か?エビデンスを元に私が答えを出すという記事でも触れています。ざっくり内容をまとめると、性格が良い人だと知っていれば外見も良く感じ、性格悪いと知っていれば外見も悪く感じる!という内容です。顔か性格か、ではなく顔と性格を切り離す事自体がナンセンスなのです。

つまり、こういうことです。

「顔がよければ、それだけでOK!」顔しか見ないで判断する事が問題なのです。

相手の性格をちゃんと把握せず、後から想像以上に性格が悪い事が判明した場合、内面だけではなく外見にもマイナス算定が入ります。その結果「顔で選ぶんじゃなかった‥」と後悔する事になります。外見がよければ許せると思っていても、残念ながら性格の理解と共に外見の魅力も低下してしまうのです。顔で選んだはずなのに外見の魅力まで低下したら?その結果はきっと最悪です。

ですから顔で選ぶんじゃなかった」の多くは「相手への理解が十分ではなかった」と言い換えられるでしょう。そんな性格だと最初から理解していたら、そこまで相手の事を本当に好きだっただろうか?という質問に多くの場合はNoと答えるでしょう。

もしこれから結婚相手を選ぶのであれば、使い古された説教臭いことばではありますが、やはり相手への理解を深めるという事が重要になりそうです。

では、どのように相手への理解を深めれば良いのでしょうか?

相手の事を良く知るための心理学

私たちはどうやってステキな相手と出会い、後悔しない結婚のために相手の事を理解していけば良いのかという事については、過去のエビデンスを元にした心理学の記事が参考になるでしょう。

さらに、出会いの方法として今はマッチングアプリが増えてきています。マッチングアプリの場合は自己開示(自分をさらけ出す事)をしやすく、深い理解をしやすい傾向にあります。対面での恋愛がうまくいっていない人はマッチングアプリを取り入れてみるのも良いかもしれません。過去のマッチングアプリに関する記事も参考にしてみてください。

最後に重要な事ですが、完璧な人間はいません。ついでにおせっかいですが、あなたも完璧ではないはずです。ですから、「こういう人だからアウト!」ではなく、お互いに良い関係を作っていく努力ができそうか?という観点が重要になります。結婚とは人生を共にしながら2人で関係を作り上げていくもので、その協力ができれば良いとも言えるのではないでしょうか。

(もっとも、それができるかどうかは性格特性の誠実性や協調性、神経症傾向も影響していそうですが‥。)

引用・参考文献

1)Malouff, John M., et al. “The five-factor model of personality and relationship satisfaction of intimate partners: A meta-analysis.” Journal of research in personality 44.1 (2010): 124-127.

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