今日は恋愛のお悩み相談に答えていくよ!
私には付き合って5ヶ月になる彼氏がいるのですが、
最近彼氏の仕事が忙しくてあまり会ってくれません。
LINEも短くて絵文字も使ってくれなくなったし、冷たく感じていました。
最近ついに「仕事が忙しすぎて恋愛感情がなくなった」と言われてかなりショックを受けています。
もうこれ以上関係は修復できないのでしょうか?
私はできれば別れたくありませんが、この関係を続けるのもつらくなってきました。
どうすればいいでしょうか?
う~ん。
彼氏の仕事が忙しくてうまくいっていないみたいだね
これ、結構あるあるなんですよ!
返信もなかなかこないから、どうすればいいか途方に暮れちゃうんです
オーケー!
じゃあ心理学的観点から問題を考えてみよう!
仕事で余裕がなくなると目先のこと以外考えられなくなる
相手は冷めたのかな…私より仕事の方が大事なんだな…と考えてしまうこともあるかもしれないけど、実は心理学的には他の可能性もあるんだ。
まず、人間は余裕がなくなると計画立てたり、優先順位を考えられなくなる
いやいや、仕事もわかるけど彼女の方が大事じゃないですか!?
平時はそう思っている人がほとんどだ。
でも、余裕がなくなるとその優先順位すらつけられなくなるんだなこれが。
このことは研究でも言われていて、2020年McManusらのメタ分析では心理社会的ストレスによって実行機能タスクのパフォーマンスが低下したということが報告されている1)
心理社会的ストレスっていうのは今回のお悩み相談なら、
彼が職場で業績を評価されたり、上司・同僚の目が気になっている事で生じるストレスですね?
そうだ。
そして実行機能というのは計画立てたり、やっちゃダメな事を抑えたり、
修正したりする脳の高度な力のことだ。
この力が落ちると、なにが重要なのか、どうすれば効率がいいのかなどを考えられず、とりあえず目の前の仕事をこなすという行動になる
ちなみにお金がない時も似たような現象が発生する。
Maniらは2013年の研究で、貧困は認知機能を妨げるということを報告しているんだ。常に心配事に頭を悩ませていると、脳のリソースが消費されてしまうんだ。2)
カツカツだと計画を立てられず、短絡的な解決策を取ってしまうんだな
だが、これは生物にとって合理的なシステムでもある。
たとえば、山の中で1週間何も食べていない時木の実を発見したらどうする?
もちろんすぐに食べます
そうだね。
間違っても「この木の実を植えて世話をすれば、5年後には大収穫だ」とは考えないだろう。
そんな悠長なことをしている間に飢えて倒れてしまうからね。
人間も余裕がないと「とにかく目の前の問題をすぐに解決せよ!」というモードに切り替えることで生存しようとしている、とも考えられるわけだ
不合理に見えて、合理的でもあることがわかりました。
誰しも追い詰められると後先を考えられなくなるんですね!
まとめ
人間はカツカツになってくると、後先を考えられなくなる
忙しいパートナーへの対応方法
仕事が忙しすぎる人にも同じことが言える。
目の前のタスクを終わらせることに精一杯すぎて、最近会えていない彼女のことは二の次にさせられてしまうんだ。
冷静になった時に後悔するのは目に見えているが、余裕がない時は脳が目の前のことだけモードに入りやすい
忙しい時のルールを「事前に」決めておくとうまくいきやすい
でも、現代社会でそこまで追い詰められることなんてないですよね?
もっと最初から余裕を持たせる方がいいんじゃないですか?
非常にいい観点だね。
今言ったように、余裕のある時に問題が起きた時の対応策を決めておくのはすごく大事だ。
余裕がある時なら長期的にプラスになる賢い行動を考えることができるからね。
そしていざ余裕がなくなった時は、まずその決めたルールに従ってしのぐ。
これはいろんな問題に応用できる優れた対処法だね
たとえば、「仕事が忙しい時は相手に伝えて連絡を減らしても良いが、一日一回はラインを返す」とかのルールを決めておくってことですね。
今後の参考にしてみます!
…でも、今回みたいに既に相手が忙しくて、恋愛感情が無くなったと言われたらどうすればいいんですか?
相手が忙しいときは、一度待った方がいい
忙しい時にできることは、まず相手に余裕ができるまで待つことだ。
解決を急ぎたくなる気持ちはわかる。
だが、余裕が無い状態で解決しようとすると、先ほども言ったように短絡的な解決策を選びやすい。
そしてヒトの心は複雑だから、人間関係の悩みを一撃で解決することは難しい。
それでも手っ取り早く問題を解決しろと余裕のない人が言われたらどうするだろう?
…これが破局に繋がったりする
じゃあ、今はまず「心配してるよ」くらいにして、
落ち着いてからゆっくり話したほうが良さそうですか?
その方がうまくいく可能性は高いだろうね。
ただ、ドライな話をするといつの時代も別れる時は別れてしまう。
「仕事も忙しいし、タイミング的にちょうどいいと思った」なんてことは、苦しいことだが現実としてある。
だが、落ち着いてから話し合う方を選べば、余裕がないことによる一時の感情で別れることは避けられるかもしれないからな
うーん、少しの間ガマンするしかないか
まだお互いに気持ちが残っているなら、余裕のある時に今の気持ちを話すことだ。
「さみしかったけど、でもあなたの立場も理解しているからね」
そこまで自分の状況を理解してくれる相手なら持ち直せる可能性は十分ある。
それでも別れるなら、それは仕事の問題じゃないな
まとめ
相手に余裕ができてから話さないとこじれるぞ!
認知行動療法で予防策
このような現象はパートナーだけではなく、もちろん自分にも起こる。
お互い忙しくなってしまったら何倍も話がこじれやすいだろう。
だからストレスがかかった時にかしこい判断ができる訓練をしておくことは、恋愛関係の問題を乗り越えるのには大切なんだ。
具体的には認知行動療法(CBT)なんかがいいだろうな
認知行動療法の判断を恋愛関係に応用するわけですね
そうだ。なにしろ人間追い詰められるとおかしなことを始める。
仕事でもミスをしただけで一気にメンタル崩れてパニックにような人は、
問題解決どころではないだろう?
それはわかります!
…でも、認知行動療法を応用するって私のような素人には難しそうです
それなら、論理療法を作ったアルバートエリス博士の著書に幸せなカップルになるために: エリス博士の7つのルールという本がある。
これはカップル間の問題にテーマを絞ってくれている分、取り組みやすいだろう。
この本の相手との立場や意見の違いを正直に認めるというのルールでは
「同意するふりより妥協をしよう」とか書いてますね。3)
このあたりの落としどころを学ぶには良さそうです
そうだね。CBTはバランスの取れた考え方を助けてくれるんだ。
ただし、これにはかなり実行機能を要求される。
自分がやるのはいつでもいいが、いっぱいいっぱいの相手にいきなり要求しないようにな。
それこそ相手の立場を理解することだ
CBTでバランスの取れた考え方ができるようにするにも、余裕が必要ってことですね。
たしか、CBTについては感情論になりやすい人への対策の過去記事でも解説してましたよね。
かしこい思考をするためには余裕があるときにCBTで訓練していきます!
まとめ
CBTや論理療法で合理性を起動させろ!
落ち着いたころにパートナーと話した方がいいこと
それから、もっと根本的で長期的な話をする。
パートナーの問題に対する向き合い方に、乗り越えるべき課題があるかもしれない
といいますと?
仕事に打ち込むことは勤勉であり、美徳とされている。
しかし、仕事のストレスや無理が身近な人に押し付けられてしまうことがある。
これは責任感が強く、真面目な人に多いな
マジメなのに、大切な人には無理をさせてしまうんですか?
会社のように他人だからこそ気を遣う、身内だからこそ気を遣わないということもあるからな。
だから仕事への献身が、時に身内を犠牲にしてしまうこともある。
それは時に必要なこともあるだろうが、バランスを崩すともちろん問題になる
あー、たしかに学生の頃イライラすると
親に当たってしまうことがありました!
それも同様だな。
結果的に、一番大切にしなければいけない人にムリがかかり、
関係が破局してしまうこともある。ワーカーホリックに近いな
その対策はどうすれば?
その人の人生だから、それだけ仕事に価値観を見出しているとすれば仕方がない。
だが、なにごとも0:100ではないはずだ。バランスがある。
自分の大切な人の価値観に影響されてバランスが変わることもよくある。
ワークライフバランスに関してコミュニケーションを取ることで、いい落とし所を探す努力はしてみたほうがいい
ただし余裕のある時に、ですね?
その通り!
このバランス感覚を鍛えるのにも先ほどのCBTが役に立つだろう。
CBTは極端な思考にブレーキをかけてくれる。
とにかく一つの考えにとらわれるとあまりいい結果にならないことが多い。
だから余裕がない時はいい判断はできないことが多い。
相手にすこし余裕ができるまで待てるからね、と伝えてみて
落ち着いてからじっくり仕事のことについて聞いてみるのはどうかな?
参考にしてみます!
まとめ
落ち着いた時に価値観をすりあわせよう!
引用・参考文献
1)McManus, Elizabeth, et al. “The effects of psychosocial stress on memory and cognitive ability: A meta-analysis.” MedRxiv (2020): 2020-11.
2)Mani, Anandi, et al. “Poverty impedes cognitive function.” science 341.6149 (2013): 976-980.
3)アルバートエリス.”幸せなカップルになるために: エリス博士の7つのルール”,ダイヤモンド社(2002)