この記事まとめ
・社会人は職場以外のコミュニティがなく、職場ではぶっちゃけトーク(自己開示)がしにくいため友達ができにくいです。
友達が欲しい時は趣味や習い事などのコミュニティで40〜60時間過ごす必要があり、一緒に過ごした時間が非常に重要になります。その科学的根拠について解説しています。
社会人になると仕事に追われるため、学生時代とはちがって友達作りが難しく感じますよね。
その職場での関係はあるものの、心を開ける友達がいないと感じる方も少なくありません。
しかし、友人を作ることは心理的にも重要で、楽しいことはもちろん孤独感の軽減に繋がります。
この記事では、社会人が友達を作るために必要な心構えと、心理学的なエビデンスを元にした友達作りについて解説します。
少しお金に余裕が出たからいいものを‥という、社会人にありがちなブランド物で着飾ることが友達作りにどう影響するかもご紹介し、心地よい人間関係を築くための実践的な方法を紹介します!
社会人が友達を作るには一緒のグループで長い時間過ごせ!
まず、友達作りの方法について研究から学んでみましょう。
今回参考にするのは2019年Hall, Jeffrey Aらの友人作りに関する研究になります。詳細は以下の通り。1)
- 初対面から友達になるには最初の6週間では40~60時間は必要!
- 三週間で119時間、3か月で219時間一緒にいると、友人から親友に移行する確率が50%を超える
- 近況報告や冗談を通して相手の日々の生活にも関心を持ち会話をすることが大切(「最近どう?」みたいな話ですね)
- 相手と共通のコミュニティや自分の自由に使える時間も重要な要素。中年になってからより、高校生の方が友達ができやすいのはそのせい
というわけで、友達作りのコツは「なによりまず、とにかく一緒に過ごせ!」という話になります。
かなりパワー系な結論になりますが、その理由についても解説していきます。
人間関係は投資と一緒
人間の時間は有限ですから、誰かと一緒に過ごすためには他に費やす時間を諦めなければなりません。
これは相手も一緒であり、あなたと一緒に過ごす時間が長いということは、相手の人生をあなたに投資し続けているのと一緒なのです。
よって、あなたと一緒にいる時間が長い≒相手の人生を投資するべき重要な人、となるため時間を費やせば費やすほど仲は自然と深まっていきます。
「すごく気が合うから」と言っても、人間は自分に人生を費やしてくれない限り友人や親友にはなれないのです。
社会人になってから友達ができないのは普通
さらに、この論文では社会人になると友達ができない原因についても解説してくれています。
まず、社会人は一緒に過ごす同じコミュニティというものが職場以外あまりありません。
さらに悪い事に、論文によると職場など義務的な空間では同じ時間を共にしても仲が深まるとは限らないようなのです。1)
でもこれは何となくわかりますよね。
上司とイヤイヤ同席してるだけでは仲は深まりませんし、職場では言っちゃいけない事もありますから仲が深まらないのも当然でしょう。
次に、プライベートの人間関係に費やせる時間があまりありません。
残業やら疲れやらで学生の頃と比べると遊びに行く時間が圧倒的に少ないですから、友達を作りにくいのは当然とも言えます。
このように社会人には友達作りへの障害が多すぎるので、社会人で友達がいないのは普通ともいえるわけです。
社会人でも友達を作るためにはぶっちゃけトークが必要
それでも友達を作りたい!人間関係を充実させたい!というあなた。
そんなあなたにお伝えしなければならないのは、まず職場で友人を増やしていくのは結構難しいということです。
職場でもプライベートでも仲良くできるのは多くても数人程度でしょう。
なぜ職場で友達ができにくいかというと、ぶっちゃけトークがしにくいからです。
仮に上司の悪口をぶっちゃけて、告げ口なんてされたら目も当てられませんから慎重になるのも当然です。
しかし、職場用のビジネストークでは友達にはなれないのです。
友達作りには時間が最重要とは言っても、当たりさわりのない話をしているだけでは仲は深まりません。
ですから、もし職場で友人を作りたいなら本音を話すということがどうしても必要になります。
このぶっちゃけトークのことを心理学の気取った言い方では自己開示と言います。
この自己開示が友人作りには欠かせません。
このぶっちゃけトークについて補足すると、過去のマッチングアプリの記事になりますが自己開示で一気に距離を詰める方法について解説していますので、上手な自己開示の方法について詳しく知りたい方はこちらも参照してください。
もちろん職場外で友人を作る時も自己開示は重要ですよ。
友達を作るには趣味や勉強の範囲を広げてグループに入る
「いや、私は上司の愚痴とかも遠慮なく話せる友達がほしいぜ!」
そんなあなたには職場外の友人を作る事をおすすめします。
はっきり言って職場外の方が友人は作りやすいです。
では、職場外で友達を作るにはどうすればいいのでしょうか?
これは、出会いの場をどうやって探せばいいのか?という質問に言い換えられます。
これには趣味や勉強の範囲を広げるしかありません。
残念ですが、あなたが「友達を引き寄せるぞ!」と毎晩念じたとしても、いきなり友達がデリバリーされてくるドラえもんみたいな法則はありません。
そのような法則を望んでいる方はブラウザバックでOKです。
私のブログでは科学的に再現性のある手法をメインで解説しているため、現実的な解決方法を紹介しています。
つまり、お勉強だけではなくあなたが効果的な行動を起こす必要があるということです。
社会人でも友人ができる具体的な出会いの場とは?
具体的に未来の友人と出会える場を挙げていきます。
たとえば、
- ジム通いやヨガ教室を始めてみる
- 朝活のイベントに行ってみる
- 読書会に行ってみる
- ランニングのチームに入ってみる
- ゴルフやギターなど習い事の教室に通い始める
- コワーキングスペースで副業を始めてみる
- 音楽フェスやイベントに出かけてみる
こういった外の世界に関わりながら自分の活動範囲を広げてみることです。
義務ではなく、プライベートでこれらのコミュニティに所属することで、確実にあなたと未来の友人が共有する時間は増えます。
お金も時間もかかりますがそれは相手も一緒です。
相手もあなたと一緒に過ごす時間にも投資しているのです。
あなたも先行投資と思って無理のない範囲でコミュニティに所属するのが最も手っ取り早く友達を作る方法と言えるでしょう。
ただし、「月に一回行けばいいや」くらいのお手軽なノリでは友人はできません。特に最初の頃(三週間ほど)はできるかぎり一生懸命通って時間を共有してください。
友達作りにおいて大切なこと:共感と関係構築ためにやってはいけないこと
自己開示によるぶっちゃけトークとコミュニティに所属することを決意したあなたは、なにを準備するでしょうか?
おそらく、友達を作るために自分の魅力を高めたいと考えるはずです。
人間誰しも拒絶はつらいですから、受け入れてもらうために自分を高めることは悪い事ではありません。
特にさみしさを感じている人は、自分が優しく、能力があり、自信があって魅力たっぷりで、「自分と友達になると楽しいよ!友人として魅力的だよ!」と鼻息を荒くしがちです。
ですが、2019年Garciaらの論文を見るとその考えは危険かもしれません。この研究は高級品を持っていると新しい友達ができないぞ!というものなります。2)詳細は以下の通り。
- みんなステータスシンボル(ブランド品や高級車)を持つことは友人として魅力を高めると思っている
- しかしステータスシンボルは相手からすると社会的に引け目を感じるため、中立的なものを持つ人の方が新しい友人として魅力的に感じた!
というわけで、相手の気持ちになって考えてみれば高級品はむしろマイナスになるってわけですね。
ですから、コミュニティに出かける時に高級ブランドとかいりません!そこまで着飾る必要もなく、清潔感があれば大丈夫です!
自分をよく見せようと高い服やバッグを持っていると敬遠されるかもしれないので注意してくださいね。
もし自分をアピールしたいなら、ステータスシンボルではなく知性などあなたの内面をアピールする方があなたらしくいられるのではないでしょうか。
過去記事では心理学的に知的な雰囲気をまとう方法やアイテムについても解説していますので参考にしてみてください。
繰り返しますが、あなたらしさのアピールは何十万円もする高いものである必要はないのです。
まとめ:友達いない人あるある3つへの対処をしよう
最後に記事の内容をまとめつつ、友達いない人にありがちな例を3つ紹介します。
「あるある!自分はこれだわ」と思うものがあれば、その項目から対処してみてください。
あるある1:活動範囲が限定されている、自分から誘わない
1番ある例がこれです。
すごくいい人だし、地元に友人もいる。
でも働いてからは疎遠になって孤独感を感じる。
この手のタイプの人は自分から誘うことが苦手で、さらに職場と家の往復の毎日で休日はあまり出歩く方でもない人が当てはまりやすいです。
そうなるとどうしても人間関係は職場だけに固定されます。
さきほども申しましたようになかなか職場で友人を作るというのはハードモードですから、この手の人は人間関係のエリアを広げた方が効率的です。
たとえば連絡の取れる旧友にコンタクトしてみる、あるいは活動範囲を広げて、職場以外のコミュニティに所属することが重要になります。
友達がいないのは何もしていないからというパターンですから、行動さえすればわりと友人ができやすいタイプですね。
少し勇気はいるかもしれませんが、踏み出しさえすればそこまで苦戦しないタイプです。
あるある2:相手のことに興味がない、自分が話しすぎてしまう
実はおしゃべり好きな人の方が友人がなかなかできずに苦戦してしまうことがあります。意外でしょうか?
なぜかというと、知らない人から友人にレベルアップするには、関心を持って相手の話を聞かなければなりません。
その点、「おしゃべりが元々得意じゃないんだよな‥」という人は最初に少し時間はかかるかもしれませんが、相手が一度話し始めると粘り強く相手の話に耳を傾けることができます。
この相手の話を聞くというのは親しくなるためには非常に重要なステップです。
人と親しくなるにはどういう話をすればいいんでしたか?
ぶっちゃけトーク(自己開示)ですよね。
この自己開示は自分がするだけではいけません。
自分が自己開示をして、相手にも自己開示をしてもらう。この双方向の関係でようやく親しくなれるのです。
ただやみくもに「そういえば昔痔で入院した事があってさ、その時に‥」「私学生の頃すごく優秀だったんだけど‥」なんて一方的な自己開示をし続けても「お、おう‥」と滑り続ける地獄のような時間になりますからやめましょう。
このような暴走をすることがあるため、おしゃべりな人が友達作りに苦戦してしまう事があるのです。
自己開示はお互いに行い、ラリーの中で徐々に深くしていくことが重要です。
そのためには相手の話をよく聞き、「え、それってどうしてやってみたの?」と興味を持って相手が積極的に自分の事を話したがる刺さる質問をする必要があります。
デールカーネギーも「友を得るには、相手の関心を引こうとするよりも、相手に純粋な関心を寄せることだ」と言っています。3)
私は自己啓発本があまり好きではないのですが、デールカーネギーの人を動かすは結構心理学的にも理にかなったことを言ってくれていると感じます。
悪く言えば手っ取り早くどう振る舞えばいいかがわかるため、友達作りにも役立つでしょう。売れているだけありますね。
また、過去記事で仲良くなりたいのは「自分について知りたいと思ってくれる人」という研究もあります。
これをうまく使えば相手が人見知りだろうが問答無用で仲良くなることができます。
詳しい方法については過去に書いた人見知りの人と仲良くなる科学的方法の記事を参照してください。
あるある3:自分をよく見せようとしすぎる
人間は自分に自信がなかったり、なにかしらのコンプレックスがあったりすると自分を大きく見せようとします。これが人の心です。
しかし、先ほどの研究を見てもわかるようにブランド物や高級品は友達作りにはむしろマイナス。
友達作りには親しみやすさの方が重要だということを覚えておいてください。
友人を作る場に行くときに全身ユニクロやしまむらで行っても問題ありませんが、気合を入れて全身グッチで行く方が友達ができにくいということですね。
女性であれば港区女子みたいなハイブランドのバッグや時計などはお客様にはウケがいいかもしれませんが、友人ウケは悪いということになります。
また、自分をよく見せようとしすぎて自慢してしまうというのも最悪なパターンです。
もし自分の良さを知って欲しい時は、自慢の作法の過去記事で科学的に正しい上手な自慢について書いていますので参考にしてみてください。
引用・参考文献
1)Hall, Jeffrey A. “How many hours does it take to make a friend?.” Journal of social and personal relationships 36.4 (2019): 1278-1296.
2)Garcia, Stephen M., Kimberlee Weaver, and Patricia Chen. “The status signals paradox.” Social Psychological and Personality Science 10.5 (2019): 690-696.
3)人を動かす文庫版. 日本, 創元社, 2016.