人の心を読む能力はコールドリーディングで習得!その練習方法とは?

神秘的なおじいさん 心理学

相手が何を考えているか心を読みたい。そんな事はありませんか?

それならコールドリーディングというテクニックが良いでしょう。これは占い師などが好んで使う話術であり、推論のテクニックであり、相手に自分から話をさせるテクニックです。これらのテクニックを組み合わせて相手に心を読んだように思わせる技術、これがコールドリーディングです。

今回は相手の考えを推論するテクニックを向上させるコールドリーディングの練習方法を紹介していきます。

コミュ力上げたいならコールドリーディングを学べ!

 以前コミュ力アップには感情知性が必要で、感情的知性を鍛えるのには考えや感情の語彙が大事だよ!という話をしました。

 感情的知性を高めると相手の考えている事を読む力を上げる事ができます。コールドリーディングの練習はこの感情知性の筋トレのようなもので、感情的知性がないとアッパー系コミュ障になります。コミュ力に自信のない人はこれから紹介する練習をしていきましょう。

コールドリーディングの強力さと使える場面

 コールドリーディングのテクニックは究極のコミュニケーションと言えるほど強力なテクニックです。なぜなら、自分が喋っていない事まで深く理解してくれる人がいたらそりゃ信用しちゃうよねという話です。なぜこの令和の時代でも占い師がデカい顔をしているのかと考えれば、その強力さはお墨付きでしょう。

たとえば日常のコミュニケーションに応用するとこのような言い方になります。

「君はいつもみんなが気づかない仕事にもよく気がついてやってくれているよね。
でもだからこそイライラしたり、なんでみんな気づかないんだろうと辛い気持ちになる事もあるんじゃないかな。最近少し疲れているように見えるんだ。
君は不満も飲み込むタイプだからさ、少し心配なんだよ。私の前では無理しなくていいんだからね」

仕事が立て込んでて疲れた時に、ちょっといいなと思っている同僚にこんな事を言われたら惚れると思います。「この人はすごく私のことを理解してくれてる!」と思うでしょう。

 私達がこのテクニックを日常生活に応用すれば、出会いの場なら「本当に私の事を理解してくれる人」「すごく気の利くスマートな人」になりますし、仕事で使えば「かわいい部下」「指名したくなるビジネスパートナー」になる事もできるでしょう。

 さらに、クレームやケンカがあった時も相手の気持ちがわかれば対処はぐっと楽になります。

 コールドリーディングに関する本は日本だとそこまで多くないのですが、翻訳されたものであればイアン・ローランド著の「コールド・リーディングが有名です。コールドリーディングを習得したいなら、練習前にまずこの一冊を手に取ってください基本のテクニックが整理されていないままリーディングをやると、めっちゃうさんくさくなります

さらに、今回紹介する練習方法では今考えている事は読めるかもしれません。しかし本書ではその人の過去にあった事や将来もリーディングします。それにはテクニックの原型を知らなければなりません。

 日本語以外でもよければ、Kindleだとコールドリーディングの本が入手しやすいです。例えばGeorge Hutton著「Cold readingという本では日本の書籍にはなかなかない練習方法についても記載されており、「コールドリーディングの練習にはジャーナリングをするといいぜ!」といったことが書かれています。1)

 もし英語が読めるのなら本書は相当安いですし、論理立てたリーディング方法、人間の欲求などについても書かれています。良い意味で値段に見合っていませんのでコールドリーディングについてもっとガッツリ勉強したい人にはおすすめです。平易な英文で書かれているので、翻訳機能を使っても意味は掴めるのではと思います。でも自信のない方はイアンローランドのコールドリーディングにしておいた方が無難でしょう。

人の心を読む基礎トレ「ジャーナリング」

 コールドリーディングでは同じ状況であれば自分の気持ち≒人間の気持ち≒相手の気持ち」という前提があり、どこまで相手と同じ状況・立場になりきれるかが勝負です。つまり相手と同じ状況になった自分が感じることをいかに言葉で表現できるか、ということです。これは以前記事にした感情的知性とガッツリダブります。

ジャーナリングの極意は「小学校の道徳の授業」

 言い回しがまどろっこしくなっていますが、子供の頃道徳の授業で教わった「自分がやられて嫌なことは相手にもしないようにしましょう!」というのと一緒ですね。

自分のものを他の人に勝手に使われたら怒るし悲しい思いをする。

だから他の人も、ものを勝手に使われたら同じように怒るし悲しい思いをするだろう。

じゃあ相手が悲しい思いをしないように勝手に借りるのはやめよう、許可をもらえるか聞いてみよう。

 という論理ですね。これをもっと具体的に複雑な状況でもやりましょうということです。相手の立場や状況に置き換えて相手の考えを推測する。つまり道徳の授業の大人版がコールドリーディングです。

 極端な例を挙げれば、占い師のところに来たお客さんに「あなたは悩みがありますね?」と言うような感じです。当たり前です、みんな悩みがあるから占いに来ているのであって、幸せで不安も解決したい事もない人は占い師の所には来ません。占いとはそういう店だからです。肉屋に行くのは肉が欲しい人だけであって、確定申告をするために肉屋には行きません。みんなそうです。

 すべて当たり前の事ですが、人間は自分を他の人とは違う存在だと思っています。これをうまく事細かにやるとまるで自分の考えている事を当てられたような気持ちになるのです。

 例えば、占い師が若い女性のお客さんに何も言っていないのに次のように言ったとしたらどうでしょう。説得力が出てくると思いませんか。

占い師
占い師

あなた、人に相談できないかなかなか解決しないような厄介な問題に随分悩まされているみたいね。うん、人間関係か、お金の事ね?

 この発言は以下のように相手の気持ちと考えを推測しています。

悩みがあって、どうにかしてヒントが欲しい人が占いに来る。
↓
対処可能だったり、友人に話して解決するなら悩んでいない。つまりわざわざお金を払って占い師の所には来ないはずだ。
↓
今悩んでいるのは相談できる人がいないか、解決できなかった問題だから占い師のところへ来ているのだろう。
↓
抱えている問題があるとすれば相談者は若いし、確率的に人間関係かお金の事だろう。仕事の悩みの可能性はあるけど、人間関係やお金に分解できるから外れる可能性は少なく「安全」だ。

 占い師はこのように言葉にドレスを着せて巧妙にやるわけです。

 この相手の立場に置き換えて考えるという推測の練習方法ジャーナリングがあります。感情知性を高めるためには?語彙力でしたよね。このジャーナリングは感情知性を高める絶好の語彙力のトレーニングになります。

ジャーナリングができるとすごく気の利く人になれる

 George HuttonもCold reading内で「ジャーナリングで自分がある状況で感じたことを書き上げて言語化する、相手が同じ状況になった時にその事を織り込んで行動するとすごく気の利いた行動ができる!」といったことを述べています。1)まさにこれこそが感情知性によるコミュニケーションそのもの。

 ジャーナリングはただの日記じゃないかと思うかもしれませんが、これを磨き上げる占いの極意にすらなるということです。

日常生活での応用例

 今度はジャーナリングを生かしたコールドリーディングの具体例について解説していきます。

転職で新しいチームメンバーを向かい入れる時に

 例えば私が転職先の初出勤日の考えや感情についてジャーナリングするとしましょう。この時に、最初は紙に書き出してください。馴れれば即興でできますが、最初は書き直しながら「自分はこんな事を感じていたんだ」と納得するまで自分の感情や考えと向き合ってください。

「初日だしドキドキする。緊張するし大変だな、まず人の名前を覚えないとやることはメモして覚えて、物覚えが悪い印象を与えちゃうとそのイメージを引きずるかもしれないから初めは特に気をつけないと‥。
 ここの人たちは厳しいのかな、やる気は見せておいたほうがいいかな。あまり目立たないようにしなきゃいけないけど、かといって話さないのも‥。
 夕方になると疲れたな、説明を受けていることがほとんどだけれど、顧客の事も覚えなきゃいけないし新しい人に会うのって疲れるな。もうくたくたで、明日から大丈夫かこの先ちょっと不安になってきた

 このように書き出します。そして、新入職員が入ってきて緊張しているように見えるのであれば自分とほぼ同じような事を考えているはずです。ですからこう言うのです。

最初って緊張するし、人の名前も覚えなきゃいけないし、流れもつかまないといけないっていうのは普段の倍は大変だよね。
 失敗しないように気を張っていると思うけど、不安なら一緒に何度か確認していこう。
 最初は特にすごく疲れるだろうし、夕方になるとくたくたになったと思う。少し休憩入れてさ、あまり力を入れすぎず抜けるところは抜いて楽に行こう!」

 こう察してもらえると、「なんて気遣いのできる素晴らしい人なんだ!」と感激するでしょう。人間が人間の直感は信頼できる人を3つの要素で判断しているのですが、その3つも自ずと織り込まれているはずです。

 自分がまさに思っていたけれど言い出せない不安に対して先回りして優しい言葉をかけてくれるのですから、「この人は自分の事をこんなに理解してくれている!」と思えば信頼してしまうのも無理はありません。これが感情知性を土台としたコミュニケーションスキルになります。

 逆にスベるのが、相手の状況や反応を読まずにジャーナリングを使ってしまうです。たとえば、リファラル採用で知人が多ければ新しい環境にも安心感がありますから、自分が感じたジャーナリングとは全く違うと思います。業務に対して慣れたベテランだったり、その人かコミュ力おばけかどうかでも感じる事は変わるはずです。

 大事なのは「この人は自分と同じような環境なのか?自分のジャーナリングを適応してもいいか?」と反応や状況を含めて推測する事です。重要なのはどこまで相手と同じ状況を想定できるかです、相手の状況理解が甘いと失敗します

恋愛での距離の詰め方

 ジャーナリングはもちろん恋愛にも応用可能です。

 たとえば気になる相手にプレゼントをしたいと考えているとしましょう。この時にありがちな罠としては、他の人にアドバイスを仰ぐというものです。以前プレゼント選びに他の人の意見を参考にするとスベるという記事を書きましたが、これがダメな理由はプレゼントをする相手の状況や文脈を織り込めていないためです。

 「気になる子がいるんだけど、誕生日プレゼントするのに何がいいと思う?」と聞かれた時に「(ちょうどバッグが痛んできてたのを知ってたから付き合って3年記念も兼ねて)オレがバッグをあげたら喜んでたよ」と答えられたとき、本当に大事なのは括弧内の文脈だという事ですね。

 ここで言葉通り「そうか、バッグをプレゼントすると喜んでくれるのか」と思って付き合ってもいないのに高いバッグをプレゼントしたらどうなるでしょうか?もし相手のバッグが新しくて、最近買ったばかりだとしたら?別に欲しくもないし、かえって負担に思って「なんか重い人だな」と思われるはずです。最悪受け取ってもらえない事すらあるでしょう。相手の考えや状況を推測せずにただバッグをプレゼントしてもスベるのは当然です。

 ここで相手の立場になってジャーナリングできれば

「相手の立場になってみると、まだそれほど親しくない相手からプレゼントというのは負担だな。どちらかというとほんの気持ち、今後の関係のフックとしてもらえるくらいだったらありがたいし、誕生日を覚えてくれていたんだという事の方が大事だな。そして、もしラッキーな事に相手も自分に好意があるとしたらお返しにカフェに誘ったりしてくれるかもしれないし、それを考えると1000~2000円くらいのちょっとしたものを渡す方がベターだ」

 このようにプレゼントでもスベらないようになります。少なくとも、いきなりブランドバッグを買って金で何とかしようというより誠実で配慮ができている分マシです。

 コールドリーディングのテクニックを使えば相手の事を理解し、仲良くなりやすいです。それに加えて、以上のように行動にも配慮や気配りを感じますからとても優しくスマートに見えます。あなたのその振る舞いは多くの人にとって魅力的に見えるでしょう。

感情が絡む謝罪場面でも効果的

 このジャーナリングが威力を発揮するのが謝罪場面です。感情が煽られる場面というのは状況が限定されており、誰しも同じ行動を取りやすいのでジャーナリングと相性が良いのです。自分や部下がやらかした後、お詫び申し上げる際に最大の効果を発揮すると私は実感しています。たとえば、以下のように使用します。

「この度は失礼いたしました。ここまでお待たせする事になったのはわたくしどもの不手際の他ありません。〇〇には私からも言っておきましたが、ご面倒をおかけした事実は変わりありません。
 ですが、今一つ申し上げられるのは、私があなたの立場だとしたらとてもいらだつだろうし、本当に対応してもらえるのか不安に思うし不信感を持っただろうということです‥。
 そう考えると、まずなにより直接会ってお詫び申し上げなければと思いまいりました。今後の対応を戻って早急に行わせていただければ‥」

 おおまかには「しごとおくれてごめんね、わすれてたわ(てへぺろ)」という内容なのですが、太字の部分があらかじめジャーナリングで書き出した時の自分の考えや感情になります。このジャーナリングがバシッと的中すると、「こいつは良く理解している」と思ってもらいやすく、その後の折り合いもつけやすくなります。なにしろ、自分が話していない事すら理解してくれているのですから。

 相手は自分の考えや気持ちを軽視されたと思っているから怒っているのだとすれば、まだ言ってない事まで考えや気持ちを理解してくれる相手と折り合いがつきやすくなるのは何も不思議ではないでしょう。占い師が信用されるのも頷ける話です。

 謝罪一つにしても、社会において「謝ってなんとかできる」「ミスの傷口を最小限にする」というスキルはかなり強いです。ゲームでも「パーティー全体を確率でダメージ無効化あるいはダメージを1/3に」なんてチートキャラがいたらボス戦に絶対連れていきたいですよね。

まだ話していない事を察すると人は信用する

 このように、自分の口から話していないのに気持ちや考えを理解してくれるというのはめちゃめちゃ強力なコミュニケーションスキルになります。気が利くなんて生易しいレベルではありません

他の知識と組み合わせて効果を高める

 これに加えて人間のミスを認められず謝れない事に対する脳の特性を理解しておけば、下手な言い訳をして状況を悪化させる失態は防げます。というより、これらができないせいで失敗を大火事にする人がなんと多い事か。

 人見知りの人と仲良くなる科学的方法なども紹介していますので、これらの知識と組み合わせる事より効果は高まります。

コールドリーディングを習得するために必ず読んで欲しい本

最後に、コールドリーディングにはいくつか「テクニックの型」があります。これを理解することでジャーナリングを変幻自在に操り本当に相手の事を読んだかのように話すことができます。

その型は、日本ではイアンローランドの「コールド・リーディング」を買っておけば間違いありません。まずこの本で基本を学び、ジャーナリングを組み合わせてください。この2つが揃うことで私の最大の武器は完成します。 

あなたもぜひコールドリーディングというレアスキルをゲットしておいてください。ボス戦で役に立ちますよ

習得は難しいけど、本と一緒に何度も読み返しながら練習してみてね!

引用・参考文献

1)Cold Reading: Know Their Thoughts – Read Their Mind – Predict Their Future (English Edition),George Hutton

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