この記事まとめ
・研究によると、別れを予測するものとして約束を破るようになったり、あなたが理想の相手だといった言動が減ると別れのリスクが高いです。さらに男女別で特徴的なサインがある事を覚えておきましょう。
「なんだか最近態度がぎこちない気がする‥」
「でも気のせいなのかな?確信はないし‥」
そんな不安を感じたり、気持ちが揺れうごく事はありませんか?
実は別れというものは突然思い立つものではなく、前兆があることがほとんどです。
気持ちが冷めたり、相手の言動に「最近ちょっとなぁ‥」なんて思いながらもジワジワと関係が崩れていき、そして別れを切り出すのが普通です。
では、別れの前にあるサインや前兆とはどのようなものなのでしょうか?今回は別れのサインとその対処法まで心理学研究のエビデンスを元に徹底解説していきます!
別れを予測できる要因を調べたぞ!という研究
今回参考にするのは2010年B Leらの論文で、「結婚していない人のロマンスの終わりを予測する!」といったタイトルで、1)これまで出た破局についての研究のメタ分析(たくさんの研究をふるいにかけてまとめたもの)になります。助かりますね。
詳細は以下の通りですが、あとからわかりやすく解説していますので安心してください。
- 先行研究によると、別れに関係する要因として「個人因子」「関係因子」「外的因子」の3つがある。
- この中で、別れの予測として影響が大きかったのは関係因子だった。これには相手への良い幻想やコミットメント(相手を大切にする・約束を守る)、愛情などが含まれる
- 外的因子も予測とまあまあ関係があり、周囲からのサポートを受けられると別れにくい。共通の人脈などは関連がなかった。
- 関係因子では男女差があった。男性では満足度・適応力・アンビバレンスが、女性では相手に頼りきる、自己開示、親密さ、葛藤などが破局と関連が大きかった
というわけで、関係性のサインと、周囲のサポートがあるかどうかによって破局をある程度予測できそうです。
破局に最も影響があるのは「関係性のサイン」
別れの予測として最も影響が大きかったのは関係因子でした。
お互いの関係性が良ければ別れにくいという当然の話ですが、特に良い幻想とコミットメントが保たれているとかなり別れにくくなるという結果が出ています。
「良い幻想」が冷める時期のサインには要注意
まず大前提として良い幻想から冷めてくる時期、つまり付き合ってから3ヶ月くらい経つとまずいサインが出てきやすいですので気をつけましょう。
相手に対して良い幻想を持っていると別れにくいというのはなんとなくわかりますよね。「あばたもえくぼ」なんて言葉もありますし、付き合いたては相手を理想化して王子様お姫様のように見えてしまうものです。
これ自体は恋愛において別れにくくなるプラス材料ですから、悪いものではありません。
ですが逆を言えば、少し落ち着いてきた頃は要注意です。
ずっと付き合いたてのラブラブを維持することは稀ですから、ちょっと関係が落ち着いてきた時に「えくぼじゃなくてあばたじゃね?」「意志が強いんじゃなくて頑固で融通がきかないだけじゃね?」と気づいた瞬間良い幻想の効果が剥がれてきます。
沸騰するほどのアツアツから温度が落ち着いてくるまでに関係が成熟してないと「別れのサイン」として出始める事になります。関係が落ち着いてくる「3ヶ月で別れやすい」とよく言われるのはこのせいですね。
やはり約束を守らなくなる・ほったらかしは危険な前兆
さらに、コミットメント、相手を大切にした行動をする事も別れにくくなります。簡単に言えば「真剣交際をする」ということです。これも当然ですね。
もっと具体的に言えば、お互いで決めた約束事を守ることや、お互いの関係に責任を持ってうわついた行動を取らないことなどが挙げられます。結婚の助走期間のようなイメージですね。これが保たれていればまずは青信号です。
しかし、約束を破ったり誠実さが無くなってくると黄色信号になります。相手が隠し事やウソを言い始めたり、話し合いで解決することに消極的、ほったらかしになってきたら要注意と言えるでしょう。
なお人間のウソに関して補足知識が必要な方は、下記の心理学に関する記事も参照していただければと思います。
男女別で別れが近いサインは違う
以上のように別れの可能性が高くなるサインがあるのですが、男女別でどうやらサインの重さが違うものがあるようなのです。
この点について男女別にポイントを整理しておきましょう。
男性が出す別れやすいサイン
男性の場合は「満足度・適応・アンビバレンス」が別れと関連が大きいとあります。この点について詳しく解説していきましょう。
別れの要素、アンビバレンスとは?
「ちょっと待て、アンビバレンスってなんじゃい」と思うかもしれませんが、これは相反する感情や態度を取る事です。「好きだけど憎い」「好きなのに冷たい態度をとる」などがそれに当たります。
「この人好きだけれど、本当に好きかどうか疑問だ」「本当のことを言っているのだろうけれど、どうしても信じきれない」と本音で感じているような状態で、疑惑の種が芽吹き始めているような状態でありこのサインを放置すると別れにつながるというのは当然でしょう。
誤解がないように補足すると、小学生の男子がするような「好きな子にいじわるしちゃう」はアンビバレンスではありません。この男子のいじわるは本音ではなく、「すきすき!でもばれるのは恥ずかしいから好きと逆のことをしてみよう」というただの照れ隠しだからです。
「べ、別にあんたのためにやったんじゃないからね!」というツンデレも照れ隠しであってアンビバレンスではないので、この点は誤解なきように。
男性がこちらに合わせてくれなくなったら要注意サイン!
よって、男性のサインをわかりやすく整理するなら
- 好きだとは言うが、反面会いたがらなかったりイライラしているなど恋愛関係に一貫しないような態度が多い(アンビバレンス)
- こちらに合わせてくれなくなる、柔軟性がなくなる(適応性)
- 不満が増える(満足度)
などが男性から発せられる別れのサインと言えるでしょう。
「不満が増えると別れが近くなるのは当然じゃないか!」と思うかもしれませんが、面白いことに実は満足度が別れに与える影響というのは思ったほど大きくありません。しかし男性の場合のみ満足度による影響が大きくなるようなのですから、この点は心に留め置いておきましょう。
もし男性のパートナーが不満が増えたり、自分の事に固執したり、恋愛関係に一貫しないようなサインがあった場合、破局に進む前に注意をした方が良いかもしれません。
女性が出す別れのサイン
女性の場合、「頼り切る、自己開示、親密さ、関係の質、葛藤」が別れとの関係が大きいという結果が出ていました。これもわかるようなわからないような感じですね。
ですから具体例を挙げて解説していきましょう。
こちらに頼らずなんでも1人でやるようになったら要注意
かみくだくと、女性の場合は相手に頼らない、自分のことを話さなくなる、言いたいことを飲み込む事が増えるなどが要注意サインという事になります。
たとえば、彼女があなたにいつもタイヤ交換などをお願いしてきていたとしましょう。一緒に生活しているならゴミ投げでも料理でも構いません。
こういったお願いしていた事を相手が何も言わずにやるようになってきたら要注意。なんでも自分でやっちゃうなんて自立した女性だな、なんて呑気な事を考えている場合ではないかもしれません。
他にも、自己開示は女性にとって破局を避けるために重要なようです。
以前マッチングアプリは早期決着!距離を縮める質問のポイントとはという記事でも、恋愛関係になるには自己開示が重要でオンラインではそのスピードが早いよ!という事を述べました。
今回の研究から言えることは、女性にとって自己開示は恋愛に落ちるだけではなく恋愛関係を継続していくためにも重要というわけですね。
「今日はこんなことがあってイヤになっちゃった」といったような、普段あった事や自分の感情などに対してさらけ出すような会話が減っているようであれば要注意かもしれません。
このように、女性の場合はなんでも1人でやるようになったら要注意サイン、さらに自分のことを話さなくなるのもヤバい前兆だと覚えてきましょう。
サインを読み取り別れを回避するには?
以上のサインが危険だということはわかりました。そして、別れを回避するにはこれらのサインを見逃さず早い段階で対策を行う事が重要になります。
その方法について考察していきましょう。
カップルのコミュニケーションはエリス博士に学べ!
まずは影響の大きい良い幻想・コミットメントへの対策を行うのが良いでしょう。
とはいっても良い幻想に対策をするのは難しいです。良い幻想を味方にできるアツアツの時期は良いのですが、幻想はいつか覚めるものだからです。
むしろいくらか幻想は覚めることは前提に、それまでにコミットメントを通して別の魅力をアピールしておく事が良いでしょう。
その恋愛のコミットメントとは何か。それは相手に対して誠実な対応を取るということです。
ええ、わかります。道徳の教科書に書いてそうなつまらない答えですよね。ですが、学校で教えるだけあってとても大事なことです。結局王道こそが最強だったりしますからね。
具体的には、相手との約束は必ず守る、嫌なことは嫌と正直に伝えることなども長期的にはコミットメントを高めてくれるでしょう。ちゃんとLINEを返すとかもそうですね。大したことない対策だと思いますか?この大したことない事をサボってませんか?
もちろん不穏な雰囲気の時にケーキや好きな物を買って帰ってみるというのも一つのライフハックではあるのですが、どちらかというと茶を濁すに近く、問題の根底を解決しない限りまた危険なサインが出始める事になります。
他にもガッツリとコミットメントを高める方法としては、幸せなカップルになるために: エリス博士の7つのルールという論理療法のアルバート・エリス博士の本が役立ちます。
この本には論理療法のエッセンスを生かした7つのコミュニケーションのルールがあるのですが、たとえば相手との立場の違いを認めるというルールでは、
- 認識や考え方が違う場合は素直に受け止める。異なる見方があることを認める。
- 「あなたと私は意見が違うけれど、それはつまりこういう事ね」「あなたの意見には同意できない。だからもっと詳しく聞かせて欲しい」2)と会話を重ねていく
このような実践的なアドバイスが書かれています。このようなフレーズを引用しながら相手の自己開示を促したり、お互い不満に感じている部分を擦り合わせて落とし所を探っていく事で幸せなカップルでいられるわけです。
つまり、魔法のような方法ではなくすっげえ現実的で地道な事によってカップルの関係は保たれていくわけですね。
でも地道ってイヤな言葉ですよね。人間誰しも問題はチョロく解決したいものです。
ですが、もし「相手の機嫌を損ねたくないから我慢して黙っていよう」「面倒だからとりあえず謝っておこう」と考えた場合、良い幻想が無くなった場合どうなるでしょうか?良い幻想一本柱で支えていたものが我慢の限界に達した瞬間に支えるものがなくなり崩壊してしまいます。
しかし、良い幻想の効果が薄れる前に、地道にコミュニケーションを重ねていけば良い幻想の他にも「誠実」「責任感」「一緒に問題を解決していける相手」など関係性を支える柱が他にもできていますから、崩壊するどころか時間と共に恋愛関係は強度を増していく事が考えられます。
この恋愛関係を支える柱を増していくためにどのように考えればいいか、どのように話せばいいかといった実践的なフレーズがわからず困惑する人はこのエリス博士のテクニックは参考になるでしょう。
特に毎回似たような別れ方をしてしまう人は、相手とのコミュニケーションをうまく行いコミットメントを高めていく方法を知ることが重要です。チョロく解決しようと考えるのはやめましょう。大事なのは地道なコミュニケーションの訓練ですよ。
なんだかんだで破局回避には周囲のサポートも大事
破局しないためにはサポートをしてくれる人がいるかどうかが重要で、特に女性には影響が大きかったとあります。
しかし一方で、メタ分析ではカップルに共通の知人がいることは別れとあまり関係がなかったという結果になっているのが面白いところです。
つまり、二人の関係をサポートしてくれない共通の知人は破局回避に役立たない可能性が高いのです。これは意外でした、私も共通の知人は破局抑制に効果的だと思っていましたので。
ともかく、この結果から考えると頼りになる相談役がいるというのは破局を防ぐためには重要かもしれません。
重要なのはあくまでサポートであって、「ひどーい、別れちゃいなよ。うんうん」と他人事だと思ってノリで話すような人ではダメだということですね。
よって、客観的で、かつ親身になって答えてくれるような人からのサポートが重要です。‥となると2人の事を良く知る人でないと偏った見方になってしまい、良いサポートはできないと考えられます。共通の知人とサポートという二つの要因は独立ようで、実は繋がっているのかもしれません。
この考察がどこまで正しいかは眉に唾を塗っておくとして、助けてくれる人がいるかが重要だぞ!ということまでは覚えておいてもよいでしょう。
引用・参考文献
1)Le, Benjamin, et al. “Predicting nonmarital romantic relationship dissolution: A meta‐analytic synthesis.” Personal Relationships 17.3 (2010): 377-390.
2)エリス, アルバート. 幸せなカップルになるために: エリス博士の7つのルール. 日本, ダイヤモンド社, 2002.