「生まれつき」で終わらせない!コミュ力アップと感情知性の科学

仲の良いグループ 心理学

コミュ力は練習で何とかなる

 私は元々コミュ力に自信が無いタイプでした。私は理系ですし、生まれつきそんなに人前に出るのが好きな方でもありません。かといって一人は嫌だし、新しいコミュニティに行く度に不安になる。そんなタイプです。

 ですが、そんなコミュ障だった私でも今では仕事でも社交性あふれる人物として仕方なくやっています。その方がトクだからです。イヤイヤながら空気を読んだ立ち振る舞いもできています。泳ぎ方と一緒で覚えたら楽勝です。

 ではどうやってコミュ力をアップしたのか?愚問です、私の拠り所は科学と論文に決まっています。コミュニケーションスキルの論文であなたもコミュ障を克服して、レッツ陽キャ

コミュ力皆無な人は感情知性が弱い!

話せばいいってもんじゃないのね

 今回参考にしたのは2014年Petroviciらの論文で、「コミュニケーションスキルは感情知性によるぞ!」という内容になります。1)

 感情知性というのは文字通り「感情についての頭の良さでして、数字に強い人、言語能力が高い人、運動神経の良い人がいるのと一緒で人によって差があるのようなのですね。

 この感情知性っていうのがコミュスキルにかなり影響与えてるんじゃない?とこの論文では考察してくれています。詳細は以下の通り。やや固い言葉が多いので後ほど解説しますから、飛ばし読みをしても大丈夫です。

  • 感情知性があると、自分のネガティブは制御できるし、相手の感じている事をより正確に掴む事ができる。この能力はそれぞれ自制共感と呼ばれており、どちらも社交スキルに重要
  • 対人スキルというのは共感的コミュニケーション社会分析からなり、やはり他者の感情理解と自分のネガティブ感情を自制する事が要求される。
  • 注意としては、人の気持ちや感情を読むようなコミュニケーション一辺倒になると自分の満足を犠牲にする代償もあるから、自分の正直さや価値観も忘れないでね!

 このコミュニケーションスキルのキモになる自制と共感能力についてもう少し解説をしましょう。

「自制」の能力がないと衝動的で挙動不審になる

 まず自制に関してですが、人間どうしても感情の波や不機嫌さ、不安などもあるわけですが、これを飼い慣らす事でハッピーで前向きな言動になります。ネガティブ感情を飼い慣らせないと挙動不審だったり衝動的なムーブになってしまいますから、コミュニケーション能力どころではないわけです。

 初対面で対峙した瞬間「アッ‥ウワァ‥」とちいかわになってしまったり、自分の要求が通らなかったりたまたま不機嫌なだけで「もう最悪!大嫌い!」と言い始めるのは自制の能力が不足している状態ですね。

 逆に、ハッピーな雰囲気ならそれだけで話しかけやすい感じが良い人になるし、不機嫌さやストレスを受け止める余裕(能力)があります。この余裕(自制)がないと相手の事どころではなく自分の事だけで精一杯なわけです。確かにコミュ力お化けの人ってグイグイいけるメンタルの強さがありますよね。

「共感能力」がないまま喋ろうとするとアッパー系コミュ障になる

 次に、共感能力です。この論文では「相手の感じていることや考えを正確に読む」能力の事を共感と言っています。先ほどのハッピーを満たしていたとしても、相手の感じていることを察知できないと、いわゆる「アッパー系コミュ障」になってしまいます。コミュ力おばけとアッパー系コミュ障の違いは、この共感能力と言えるでしょう

 ※アッパー系コミュ障:「それでね、それでね、あと、で、実は言いたいのはそれじゃなくて、そうそう‥」「ああ、素人はちょっと勘違いしがちなんだけど◎◎じゃなくて正確には〇〇なんだよね。実は〇〇には改良されてきた歴史があって‥」と空気を読まず自分が喋り、スベり続けるという恐怖のアレ。「よし、コミュ障克服の為にたくさん喋るぞ!」と決意したコミュ障も一時的にこのパターンになることがあります。

 このアッパー系コミュ障の人は一見すると陽キャに見えますが、共感能力が弱くコミュ力があるわけではないので敬遠されやすいです。

よって、「空気が読めない」というレッテルをつけられがちです。なぜなら相手は話を聞いてもらえないと感じますし、喋るのに必死で実際ろくに聞いていないので会話になりません。このタイプの人は会話のキャッチボールというより投げ込みです。

 結果として「本人に自覚はないが、周囲から見るとたいへん困った状況になっている」となってしまうのです。

自制と共感は、どちらも感情知性が要求される

 さて、コミュニケーションスキル向上にはこの「自制」と「共感」、両方を鍛える必要があります。そしてこの二つを手に入れるためには感情知性を高める必要があるよー!というのが今回の話です。

感情に対する理解や察する能力を自分に使ったら「自制」、他者に使ったら「共感」となるわけです。

 ですから、コミュ障の人が「何を話そう?どうしよう?」と思ってとにかく喋ろうとするとスベりまくってしまうのなら、この感情知性対策をした方が良いということです。

 例えば、あなたが新しいチームの歓迎会などのイベントに行った時、初対面の人と話すのが苦手な人は、「ああいやだ最悪だ。でも話さないわけにもいかないし」と思って相手に突然天気の話を始めたり、相手の知らない趣味の話をしてスベってしまうでしょう。私にも経験があります

コミュ力upのトレーニングにはコールドリーディングの練習を使う

感情の説明能力ね!

 ではどうやって私が感情的知性を鍛えたのかについてお話しします。

 感情知性を取り扱うには、キーになるのは語彙力になります。自分や相手が何を感じているか、何を考えているかを言葉にできないと感情という目に見えない得体の知れないものはどう取り扱ったらいいかわかりません。

 例えば、あなたがドライバーを渡されたら「ネジを締めるんだな」とわかります。それはドライバーの事を「ねじを締める道具である」と説明できるからですよね。

 一方、あなたがドラえもんから謎の瓶を渡されても何をしたらいいのかわかりません。そもそもそれが何かわからないからです。「これはつけたものを無理にでもこじつけるコジツケールというのだ、わかるだろ」と言われても「知らねぇよ」となるのは当然でしょう。

 ですから、自分や相手が何を感じて考えているかを言葉で説明できないと感情は扱えません

言葉で考えや感情を説明する練習、「ジャーナリング」

 この練習方法には「ジャーナリング」というコールドリーディングの練習方法が有効で、私はこのトレーニングで感情的知性を高めました。

 ジャーナリングとは「自分が特定の状況に置かれたときに感じたことや考えたことを実況中継するように書く」というものです。詳しい練習方法や実際の使い方はコミュ力を高めるコールドリーディング練習方法徹底解説も参考にしてください。

 「自分が相手の状況だったらどう言ってほしいか?」という事を言葉で説明できるようになると、自ずと相手に話すことは決まってきます。

何を話せばいいかわからないなら、本の気の利いたフレーズをストックしておく

 しかし何と言ったらいいのかわからないなら、この時の言い回しは言葉の塊である本から学ぶのが手っ取り早いです。

 特に海外の著者は非常に気の利いた言い回しが多く、定番にはなりますがデールカーネギーの「人を動かす」は参考になります。例えば以下のような言い回しがあります。

口論や悪感情を消滅させ、相手に善意を持たせて、あなたの言う事を、大人しく聞かせる魔法の文句を披露しようー
「あなたがそう思うのは、もっともです。もし私があなただったら、やはりそう思うでしょう」。こう言って話をはじめるのだ。

人を動かす D・カーネギー

 このようなフレーズを片っ端からストックしておき、適切な場面でアレンジして使う。これだけです。コミュ障を克服しようとしてアッパー系コミュ障になるという手痛い失敗も防げますし、人を巻き込むのが上手い人の特徴と併せ持つとチームを導く事もできます。感情知性は社会を生きる土台となるのです。

引用・参考文献
1)Petrovici, Amalia, and Tatiana Dobrescu. “The role of emotional intelligence in building interpersonal communication skills.” Procedia-Social and Behavioral Sciences 116 (2014): 1405-1410.
2)Carnegie, Dale, 山口博. 人を動かす. 新装版, 大阪, 創元社, 1999

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