空気が読めない自分が嫌い!そんな自分から卒業する方法

考える女性 心理学

 私は「空気が読めないな」と言われたことがあります。それも何度もです。

空気を読むって何?
暗黙のルールじゃなくてちゃんと言ってよ!

 そう思ったことは一度や二度ではありません。

 ホントに、空気を読むってどういう意味でしょうか。私もそう思っていましたが今では「すごく気が利くね!」と言ってもらえる人になりました。優しさを生かす為には空気を読む必要があるとわかったからです。

 空気を読むとは、発言やルールの「めあて」を答えられるかどうかです。

答えではなく、「問題」を読み間違えてしまっている

 そもそも空気読むというい言葉自体が空気みたいにフワフワしてて意味不明です。私たちは今、問題がわからないのに答えを出そうとするから困っているのです。問題文がにじんで読めないテストは回答しようがありません。解く問題がはっきりすれば答えは出せます

 今あなたは、解くべき問題文がよくわからないせいでせっかくの優しさを違う方向に使ってしまっているだけです。テストで言えば、答えが合っているのに解答欄を間違えている状態です

 ですから私が問題をはっきりさせます。空気を読めとは、「相手の動機(目的)を理解しろ!」という問題です

ルールだって目的があって作られる

 相手の動機を理解する。これはどんなことでも、ルールでもそうです。

 かたい言葉ですが、法律を学ぶ時に「立法の趣旨」という言葉が出てきます。趣旨とは目的のこと、小学校で言うところの「めあて」ですね。

 決まりができた事にはめあてがあり、めあてを達成する為にみんなに守ってほしいのです。

 税を納めましょうというのは集めたお金を日本みんなの利益にして支え合うというめあてがあります。だから一人だけズルしちゃダメだよというルールを作ったわけです。

 決まりとして書いてある事だけではなくこの目的を読み解けないと、決まりを本当に理解したとは言えないのです。つまり決まりを作った人たちの意図(めあて)を読む≒空気を読むということですね。

 私たちも同様に、相手の言った事だけで判断するからダメなのです。その「めあて」まで推測できていないから空気が読めないという状況になるのです。

暗黙のルールにも目的がある

 暗黙のルールができた目的を予測する。これが空気を読むという言葉を具体化したものになります。

 暗黙のルールとは、もっと正確に言うと「誰かが都合がいいので作った裏ルール」になります。もしかするとコミュニティの中心人物かもしれませんし、昔いた人が作ったのかもしれません。さらに、明文化されず暗黙(グレー)にしているのには、何かの便利な理由(めあて)があるはずです。

 たとえば、デールカーネギーの「人を動かす」は人間関係における暗黙のルールが書いてある本といえます。「名前を覚える」「顔をつぶさない」などの原則がたくさん書いてある本なのですが、1)これらのルールには「相手の名前を憶えておくと相手はいい気分になるっぽいぞ、気に入られて人間関係をイージーモードにしていこうぜ」「顔をつぶすと根に持ってやり返されるからやめようぜ」というめあてがあると考えられます。

 この暗黙のルールの「めあて」を理解して行動できる空気を読めるということです。

 あまりぴんときませんか?では具体例から考えてみましょう。

空気を読めない典型例1:「前の職場ではこうでした」

 たとえば、転職した直後に絶対言ってはいけないワードの一つに「前の職場ではこうでした」というものがありますが、その理由には二つあります。

 一つは信頼を獲得していない状態で発言しても誰も聞いてくれないという事。

 もう一つは転職直後はまだそのルールができためあてを理解できていないからです。これは典型的な空気が読めない状態です。

 繰り返しますが、ルールは何か目的があってできるのです。それを理解しきれていない状態で「前はこうだったからおかしい」と言ったところで、浅はかで空気が読めない人だと思われてしまいます。

 もし伝えるのだとすれば、信頼を獲得しつつ人間関係を含めた状況を理解し、「なるほど、こういう目的でルールができているんだな」という状況を含めて提案した方が良いでしょう。

「なるほど。今のルールは、Aさんしかできない業務があるからこの工程を踏んでいるってことなんだ。他にも理由はあるかな。もしよければ、みんなでこの業務ができるように共有するのはどうだろう?Aさんの負担も減るんじゃないかな」

 信頼を得た上でめあてを理解して提案。これが空気が読める立ち振る舞いという事になります。

空気を読めない典型例2:「こうやってくださいって言われました」

 指示待ち・マニュアル通りにしか動けない人も同様です。

 この人たちが「空気が読めない」「融通が利かない」と言われてしまうのはマニュアルをなぞるだけで、指示やマニュアルのめあてを理解していないからです。言われたことしかできないとも言えます。

 たとえば、「この仕事はこの3人で分けてやってください」と上司から指示があったとします。指示通りに行動すれば平等に3分割して終わりです。ですが、もし一人の仕事の進みが悪かったり、他の仕事も抱えたとすれば残りの2人がフォローすれば円滑に仕事は進みます。

 しかし指示待ち・マニュアル人間は「上司がこの仕事は3人で分けてやると言ったのだから、私が他の人の分まで手伝うのはおかしい!」と不満を表明するでしょう。

 確かに上司は3人でやるように指示を出しました。そして、そのめあては多くの場合「3人で協力しながら円滑に進めてください」でしょうから、3分割を守ろうとしただけの人は仕事を滞りなく速やかに終わらせてほしいという上司の指示を本当の意味で理解していないのです。つまり「空気を読めていない」状態になるのです。

 ただし、状況が違えば正解も変わります。たとえば、その仕事の遅れている一人がよくサボるため残りの2人でちゃんと業務を行わせるようにしてほしい、という教育目的を含んだ指示であれば「手伝うのはおかしい!」という意見は「空気を読めている」状態になります。そのめあてを読み間違えてその人を手伝ってしまうと上司に「そうじゃねえんだよなぁ‥」と逆に渋い顔をされるでしょう。

 このように同じ指示でも正解は状況判断により変わるわけです。このめあての判断≒空気が読めるという事になります。

空気が読めない自分から気が利く自分に変わる方法

 指示以外のコミュニケーション・発言でも同様です発言のめあてが何かを知るが重要です。

臨機応変が苦手?むしろ不快センサーの鋭さを生かせ!

 とはいえ慣れていないと難しい事も事実。最初のとっかかりとしてアドバイスするなら、会話で空気を読む時に大事なのは「普段との差」を見る事です。

 「あれ?いつもこうしているのに今日は違うぞ」など、いつもと違う状況というのはルールやマニュアルに従いたい人にとっては特に不快な状況ですからむしろ気づきやすいです。

 空気を読めないと言われがちな人は、臨機応変が苦手で柔軟性に乏しい傾向にあります。ですがその分イレギュラーに対する不快センサーが鋭いのです。この不快感をきっかけに「空気を読んでいく」のが良いでしょう。

 ですから、みんながいつもと違う行動を取っていて落ち着かないと感じたならば、以下の事に注目して覚えておきましょう

  • 時間:朝だけ?週末だけ?
  • 場所:職場だけ?外回りだけ?食事中だけ?
  • :上司の前だけ?よく問題を起こす人の前だけ?外部の人の前だけ?自分の前だけ?
  • 場面:プライベートだけ?仕事時間内だけ?プレゼンの時だけ?

 特定の状況で「いつもと違う」言動をみんながしていたら、そこには何かの暗黙のルールやめあてがあります。

ケース1:上司の「空気」を読むには

 たとえば、上層部との会議で上司が締め切り間近の重要案件の報告をしていないとします。最近毎日その対応に追われてぼやいていたとすれば、この場面でだけ忘れている事になり、不自然です。

 上司がいつもと違う行動をするのは、とりあえずこの場をしのぎたいというめあてがあると推測できます。そこで、会議で気を利かせたつもりで

「あれ?課長、あの件の話はしなくていいんですか?前の会議でも進捗報告するって言ってましたよね」

 と言おうものなら「お前は頼むから黙っててくれ」と思われるでしょう。「重要だから報告しないと」というのはマニュアルとしては正解かもしれませんが、上司からは間違いなく疎まれます。

 しかし(場面・人のせいか、いつもと上司の行動が違う!なにかめあてがある)と違和感に気づいたあなたはここで正しく空気を読みます。

「では、この件については確定、こちらは持ち帰りということで。私から議事録の方はpdfで送信させていただくという事でよろしいでしょうか?では、後ほど確認をしていただき、また相談させていただければ‥」

 とやや早口でまとめてクローズに入れば、「こいつは空気を読めるやつだ」と助け舟に上司も感心するでしょう。気が利くかわいい部下というわけです。

ケース2:うわさ話で危機回避するには

 A高校に通う山田さん国枝さん林さんの三人はうわさ話が大好き。いつもクラスで誰が誰の事を好きかといううわさ話で盛り上がっています。

山田さん「ところで工藤さんって田中君の事好きみたいだよね」
国枝さん「やめなよ、あまり詮索するのは良くないよ」
林さん「‥それよりさ、隣のクラスの藤本君カッコよくない?」
山田さん「ちょっと。なんで無視するのよ。藤本君はいま関係ないでしょ」

 今回、山田さんは空気を読み間違えてしまいました。

 ここで「いつもと違う」というセンサーを働かせることができたのは林さんです。うわさ話が好きな国枝さんが「あまり詮索するべきではない」と話すのはいつもと違う不自然な発言です。

 つまり、国枝さんは何かしら知っていて、この話題は避けたいというめあてがあると感じ取りました。だから空気を読んで話題を変えるという助け舟を出したのです。

 そこまでは良かったのですが、山田さんはその二人がいつものうわさ話に乗ってこなかった事に対して不快感しか持たなかったため、険悪なムードになってしまいました。「空気読めないよね」という状況はこうして発生してしまいます

 こうなってしまうと、国枝さんは山田さんの「空気の読めなさ」があるせいで今後秘密を共有する事にためらいを感じます。状況判断が苦手な山田さんはうっかり口を滑らせるかもしれません。あまり深い話はしないようにするでしょう。

 逆に、林さんには何となく勘付いた上で「隠そう」と協力もしてくれたのですから、しゃべってはいけない事を敏感に察知できますし、助け舟を出してくれるくらいですから口も固そうです。林さんのような人には誰にも話せない秘密を打ち明けるかもしれません。

 このように空気を読めないと情報を打ち明けられる事が減るので、ますます空気が読めなくなっていきます。逆に、空気を読めると信用され情報が集まってくるため、ますます状況を理解し空気が読めるようになっていきます

 不幸体質の直し方でも書きましたが、人間関係では自分の些細な行動がきっかけで負のループにハマり、より深い沼に沈んでいくという事が多いです。負のループを「めあて」を推測する事で切っていく事が大事です。

コールドリーディングで「空気読み」の練習をする

 さらに「めあて」の精度を高める方法として、ジャーナリングと呼ばれる練習方法があります。

 これはコールドリーディングと呼ばれる占い師が使う技術の練習方法で、コールドリーディングとは即興で相手の考えを読む(ように見せかける)テクニックです。

 ジャーナリングとは、相手の感情や考えを推測するコールドリーディングのトレーニングです。この方法をうまくできると、究極に空気を読んだ状態になります。何しろ相手は何も言っていないのに自分の事を理解したように感じるのですから空気が読めるどころの騒ぎではなく、コミュ力が高くなるのも当然です。

 詳しくはコミュ力を高めるコールドリーディングの練習方法で紹介していますのでそちらの方も参考にしてください。

引用・参考文献

1)Carnegie, Dale, 山口博. 人を動かす. 新装版, 大阪, 創元社, 1999

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